Ryzen7 8700Gの登場でローエンドグラボは駆逐されるか

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2024年1月、AMDからAPUの完成形ともいえる新モデル「Ryzen 7 8700G」が登場しました。

内蔵GPUが大幅に改良されており、フルHDレベルであれば3Dゲームも余裕でこなせるとの前評判が話題に。

これを受けて、ローエンドグラボが市場から無くなるのではないかとも噂されています。今回はAMDの新APUとローエンドグラボの可能性について考えてみました。

GTX1650相当?Ryzen 7 8700Gのスペック

まず、Ryzen 7 8700Gのスペックのスペックを見ていきましょう。公式サイトによるとスペックは以下のとおりです。

・CPUソケット:AM5
・コア数(スレッド数):8コア(16スレッド)
・動作クロック:4.2~5.1GHz(OC可能)
・キャッシュ:L2 8MB、L3 16MB
・TDP:65W
・内蔵GPU:AMD Radeon 780M(コアユニット12、2900 MHz動作)

Ryzen 7 8700GはRDNA3ベースのRadeon 700Mシリーズの最上位グレードである780Mを内蔵GPUとしており、非常に高いグラフィック性能を誇ります。

公式発表では、フルHDで「サイバーパンク2077」や「Far Cry6」などのメジャーな3Dゲームを60fpsで動かすことが可能とのこと。

純粋な内蔵GPUの性能は、外付けグラボに換算するとGTX1650を超えるとの見方もあるようですね。今までのAPUの流れからすると、完全にローエンドグラボのラインを越えてきそうでしたのでこの点は納得です。

ただ、よくよく見ていくとGTX1650やRX6400あたりの7~8割の性能というのが正解な気がします。

というのも、Infinity cacheが無いうえに帯域がおよそ半分だからです。Infinity cacheはRDNA2から導入されたGPU独自のキャッシュ領域(ラストレベルキャッシュ=LLC)。

Infinity cacheが設けられたことでAMDのグラボはかなりの性能向上があったのですが、AMD Radeon 780Mでは削られているので単純に性能上はマイナスですね。

搭載RAMの不足はメインメモリから間借りできる分があるのでプラマイゼロとしても、キャッシュが削られているのは痛いのです。ということで、実使用上はGTX1650やRX6400に及ばないというのが適切な見方でしょう。

ローエンドグラボは死滅しない

AMDがAPUのグラフィック性能をどんどん上げていこうと考えているのは、とてもよく伝わってきます。

現在は演算ユニット数が12で頭打ちですが、zen5世代のAPUになると演算ユニットの上限が40まで拡大されるとの情報もあります。

単純に演算性能が2倍以上にはなりそうですから、ローエンドグラボのGTX1650やRX6400レベルならば簡単に超えてくるでしょう。

しかし、それでもローエンドグラボは死滅しないと思います。理由は以下2つ。

1. APU自体の使い勝手が微妙

まずAPUは「そこそこのCPU+ローエンドグラボレベルのGPU」を一体にした存在です。この組み合わせは、ゲーミングPCとしては微妙ですが「たまに3Dゲームをやる」といったライト層にはがっちりフィットします。

逆を言えば日常的に海外の3Dゲームをプレイする層にはもの足りず、さらにグラボのアップデートも不可能なことから、気軽に換装可能なローエンドグラボのほうが使いやすいのです。

APUは「ゲーム機としてはちょっと微妙だけど、そこそこの万能機」として使うものですからね。

2. グラボは中古で安くなる

2つ目の理由は、ローエンドグラボは中古価格が非常に魅力的ということ。GTX1650クラスであれば数年後に1万円代に落ちることもザラです。

また、安いCPUと組み合わせることで簡単にサブのゲームマシンにすることもできますし、価格のこなれていないAPUよりもコスパが良いわけですね。

以上2つの理由から、APUの高性能化が進んでもローエンドグラボは死滅せずに残り続けると考えられます。

とはいえ、APUの高性能化は私も注目していて、Zen5世代のAPUは本当に楽しみです。もちろんRyzen 7 8700Gも「買い」だと思います。