Ryzenの新技術「3D V-Cache」の利点とは

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Zen3世代のRyzenには、キャッシュ関連の新技術「3D V-Cache」が搭載されています。

この「3D V-Cache」ですが、AMDがゲーミング専用と豪語する「Rynzen 7 5800X3D」に採用されて注目されていますね。

そこで、一体どんな技術で、どのようなメリットがあるのかを調べてみました。

積層で大容量化「3D V-Cache」

「3D V-Cache」とは、簡単に言えばCPU内部のキャッシュメモリを「平面」ではなく、「立体」で実装する技術です。

CPUのキャッシュは限られたCPUダイの面積の中でいかに容量を大きくするかが課題ですが、平面ではなく立体的に積み上げることで容量を稼いでいるわけですね。

「3D V-Cache」では、新しくCPU内部のインターフェイス設計を行う手間を省き、既存の設計のままL3キャッシュを大きくすることに成功しています。

メモリ関連の積層化技術は、2018年ころから実用化が広まっており「V-NAND」や「3D V-NAND」という名前で呼ばれてきました。

これらはCPU内部のキャッシュではなく、メインメモリ用の技術でしたが、ついにCPU内部のキャッシュ領域も積層化が始まっています。

そもそもCPUはダイの面積が性能に直結するため、面積の制限を外せる技術は効果が大きいと思いますね。そこで、「3D V-Cache」についてメリットやデメリットを詳しく見ていきます。

「3D V-Cache」のメリットとデメリット

AMDのRyzenb 7 5800X3Dに採用されている3D V-Cacheのメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット

面積あたりのキャッシュ容量を増やせる

これが3D V-Cacheの持つ最大のメリットですね。特にL3キャッシュは、マルチコア化とダイ面積の圧迫によって大容量化が難しくなっていましたが、積層構造であれば制限を突破できます。

キャッシュの増加によって性能が上がる

CPUの性能はキャッシュの容量にも影響を受けるため、容易にL3キャッシュを大きくしやすい3D V-Cacheならば、性能の底上げが可能です。

ちなみに3D V-Cacheによって積み増された分のキャッシュは、通常のL3キャッシュと同一のものとして扱われているため、何かしらのボトルネックになる可能性も低そう。

ゲーミング向けCPUが安くなる

AMDがこれから3D V-Cacheを随時投入していくと仮定すると、安価に大容量キャッシュを積んだCPUを手に入れやすくなるかもしれません。

デメリット

冷却対策が重要

3D V-Cacheは、垂直方向にキャッシュを積み増すため、簡単に言えば「CPUダイという街の中に新しいビルが建つ」というイメージになりますね。

この状態で従来と同じ温度を維持するためには、新しいビルが建った分だけ冷却が必要になります。また、冷却にも制限が課されるかもしれません。

OCも制限が

オーバークロックにも制限がかかるようで、3D V-Cacheが採用されている5800X3Dは通常の5800Xのようにコア動作倍率が解除されていないとのこと。

やはりキャッシュを物理的に上積みした影響は、CPUの高クロックに影響があるようです。これについては早急に解決されることを望みます。

賛否両論あるが革新的であることは間違いない

このようにAMDが採用した3D V-Cacheは、まだまだ制約が多い技術です。ハイエンドモデルに実装することで知名度を高めたいのかもしれませんが、Ryzen 5あたりでどのくらい受け入れられるかは未知数。

ちなみに3D V-Cacheを搭載したRyzen7 5800X3Dを使用するには、マザーボードのUEFIバージョンなどを確認する必要があります。具体的にはSocket AM4でAGESA 1206B以上のBIOSが必要なようですね。