2020年頃から高騰を続けていたGPUの価格が、2022年春になってようやく落ち着いてきました。
歴史的な高騰が2年近く続いていたので、購入をあきらめていた方も多いと思います。今回は、ようやく訪れそうなGPUの買い時について考察してみます。
2022年2月をピークに徐々に価格が落ち着く
GPUの価格は2020年の冬ごろから本格的に上昇し始め、2022年の2月頃にピークを迎えました。
具体例としてGTX1650SUPERを挙げてみると、
- 発売当初(2019年11月):22000円前後
- 最安期(2020年中ごろ):20000円前後
- 最高値(2022年2月ごろ):29800円前後
- 現在(2022年5月中旬):26400円前後
といった具合に、発売から2年半も経過したGPUであるにもかかわらず、初値の1.5倍にまで高騰しました。
GPUは発売から2年程度経過すると、新品価格が1~2割程度やすくなるのが通例でしたが……。過去に例の無い高騰だったと思います。
その背景には、コロナ禍による半導体不足や暗号資産マイニングブームの再燃によるGPU需要の増加があったわけです。
しかし、この2つが徐々に落ち着いてきたこともあり、GPUの価格は徐々に下がっています。
イーサリアムのマイニングブーム沈静化による下落
今回の値下がりの主要因としては、メジャーな暗号資産のひとつである「イーサリアム」のマイニングが廃止になることが挙げられますね。
イーサリアムは、古い世代の暗号資産のひとつであり、その根本には「PoW(プルーフオブワーク)」がありました。
PoWは暗号資産としてのセキュリティ耐性やデータの信頼性を保つために、何らかの計算(労働)が必要なことを指します。
この計算(労働)がGPUによるマイニングなのですが、イーサリアムはPoWからPoS(プルーフオブステーク)へ移行することが決定しているため、マイニング自体が不要となるわけです。
PoSとは、暗号資産の承認行為を通貨の保有量が多い者が担当するため、PoWのように計算処理が必要ではなくなります。
したがって、イーサリアムマイニングに使われていたGPUへの需要が低下し、今回の価格下落につながっているわけですね。
イーサリアムはアルトコインの王様と呼ばれるほどメジャーな存在で、ビットコインとともに暗号資産全体の相場をけん引しています。
そのイーサリアムがマイニング不要な通貨となれば、大量のGPUが市場に放出されるでしょうね。
ただし、昔とは異なりマイニング用のGPUはゲーム用のGPUに転用できないので、「マイニング用GPUに取られていた原材料が余る→ゲーム用GPUの原材料費が安くなる→ゲーム用GPUが安くなる」というステップを踏むことになるでしょう。
なので、一気に値下がりするというよりは徐々に下がっていくのかなと想像しています。
円安の影響も無視できない
日本の場合、GPUの価格は為替の影響も大きいです。特に米ドルに対してどれだけ安いか(高いか)で価格が大きく変動します。
2022年5月時点で言えば、歴史的な円安水準(1ドル128~130円)に達しているので、どうしても米ドル基準なGPUは高くなってしまいますね…。
これが一気に125円程度まで落ち着けば、GPUも相当安くなるはずです。個人的には「マイニング需要低下+円高」で一気に安くなってほしいですが、年末に向けて徐々に安くなっていくと予想しておきます。