Seagateが1台30TBのHDDを実用化!SSDよりも優秀なHDDか?

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2023年ころから、HDDの新技術「HAMR」が注目されています。HAMRを採用したHDDは容量が飛躍的に伸びており、理論上は1台あたり100TB程度まで伸ばせるという見方もあるようです。

このHAMRを活用し、有名ストレージメーカー「Seagate」が、1台30TBのHDDを開発しました。SSDよりも古い技術にもかかわらず、容量はどんどん伸びているHDD。

果たして新世代のHDDはSSDよりも優秀になれるのでしょうか。

HDDはどこまで容量が増えるのか?

Seagateは2024年1月、同社のHDD「Exos」シリーズで容量30TBの製品の出荷を開始する計画であると発表しました。

同社はこの製品に熱アシスト磁気記録方式(HAMR)を採用しています。

「HAMR(熱補助型磁気記録)」は、データの記録時にプラッタ(HDDの内部にある円盤状の記録装置)を加熱し、面密度を高めることでデータ容量を高める方式。

今回は、プラッタ1枚当たり3TBの容量を実現しています。プラッタは10枚搭載されているとのことで、合計30TBの容量が実現されました。

Seagateによれば、同社は今後数年でプラッタ当たりの容量を4TBまたは5TBに増加させるとのこと。つまり今後は、40~50TBの容量を持つ製品が市場に登場することになります。

ちなみに2024年7月時点で、一般のPC向けとして販売されているHDDの最大容量は20TBです。

今回の製品はデータセンター向けなので、一般消費者が手に入れることは難しいかもしれません。しかし、30TBであれば早ければ来年にも登場しそうです。

「HDD不要論」をひっくり返すか?

AI技術の利用に伴い、我々はより多くのデータを保存・活用するようになりました。また、動画コンテンツが当たり前になり、個人が保存するデータの量も増加傾向にあります。

このような時代にあって、「安く大量にデータを保存できる」HDDが見直されているとのこと。また、HDDのの記録密度向上がこれまで以上に重要になっています。

ただし、「安さ」については、実はSSDに追い上げられている状況です。SSDの容量増加につながる技術進化が複数あるため、SSDはHDDの安さに近づいています。

HDDは搭載する部品が複雑になることで、コスト増になる懸念があります。HAMRのようにデータの「熱」を使用する技術を組み込むと、追加の冷却システムが必要になりますよね。これがコスト増になるわけです。

HDDはコスト増、SSDはコスト減という状況が続けば、HDDのアドバンテージも危うくなります。なので、HDDの容量が大きくなったとしても「HDD不要論」は消えないでしょうね。

とはいえ、容量当たりのコストで比較すると、HDDはSDDよりもまだまだ安いです。2023年末の時点でSSDはHDDよりも1GB当たり25~50%ほど高いというデータもあります。

「SSDよりも安くて大きい」をいつまで貫けるかが、HDD不要論を覆すカギになりそうです。

こうした比較は、HDDやSSD全体の平均を取ったものだ。

一般向けHDDは高くなる可能性も

今回紹介したSeagateのHDDは、データセンター向けなので「大量のHDDを一括で販売する」前提での値付けです。

我々一般人が一度に購入するHDDはせいぜい2~3台なので、大容量HDDの安さを体感しにくいかもしれません。

むしろ今後は、円安や金属の値上がりでHDD自体が高価になっていく可能性も。そうなるとSSDとの価格差がますます小さくなりそうですね。

個人的にはHDDの進化は大歓迎です。多少速度で劣っていても、大量のデータをまとめておけるという意味は大きいので。HDDの今後に期待ですね。