電源選びは負荷率と変換効率に注目すべき

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電源は、PC全体の心臓部とも言えるパーツですから、できるだけ品質にこだわりたいところ。また、将来的なアップグレードを考えると容量にも余裕を持たせるべきでしょう。

しかし、自分の環境に合わせてできるだけ電気を無駄なく、効率よく使うという意味では「負荷率」と「変換効率」にも注目すべきです。今回は、容量だけ以外の電源選びの基準を紹介します。

負荷率と変換効率で「美味しいところを狙う」

一般的にPC用電源は、容量が大きいほど良いとされています。その理由は、冒頭でも述べたように「アップグレードなどの環境変化に適応しやすい」からです。

例えば400W電源で充分な構成であっても、700Wや800Wの大容量電源を積むことで、将来的なアップグレードやOC時の消費電力増加にも対応できます。

しかし、あまりにも実際の消費電力と乖離した容量の電源は、「負荷率」と「変換効率」の関係から、かえって効率が落ちてしまうことがあるのです。これがどういうことなのか、詳しく説明します。

例えば、400W電源と800W電源という2つの電源があるとします。どちらも80PLUS認証のBRONZEです。80PLUS認証のBRONZEでは、負荷率の高さごとに次のような変換効率となります。

80PLUS認証BRONZE電源の負荷率と変換効率

負荷20% 変換効率82%
負荷50% 変換効率85%
負荷20% 変換効率82%

これを見てわかるとおり、最も変換効率が良いのは「負荷50%」の部分です。つまり、容量に対して出力が5割程度の状態が、最も効率よく電気を使えるということ。

容量400Wの電源Aと800Wの電源Bの場合、PC全体の消費電力が200W程度だとすると、電源Aは負荷率50%(変換効率85%)、電源Bは負荷率25%(変換効率82%前後)です。

つまり、電源Aのほうがより電気を効率よく使えています。電気を効率よく使えると、出力のわりに実際の消費電力が低い(=電気代が安い)ことになるわけです。

このように、PC全体の消費電力と電源容量の関係によっては、「必ずしも大容量の電源が良いとは限らない」状態になるのです。

PC電源を選ぶ際には、負荷率と変換効率、PC全体の消費電力の関係を見ながら、最も美味しいところ(=変換効率がたかいところ)にあてはまるような選び方がおすすめです。

ミドルレンジなら500W~600Wが無難

例えば、次のような構成であれば、電源は500W~600W程度が良いと思います。

・Core i5 9400+GTX1660SUPER+ストレージ2台(SSD+HDD)

・Ryzen 5 3600+GTX1660SUPER+ストレージ2台(SSD+HDD)

この構成は、大体CPUが65W、GPUが120Wです。ストレージは、最も消費電力が大きくなる起動時(スピンアップ時)を基準に考えると、SSDは数W(1桁台)、HDDは製品によって差があるものの大体15W~35Wです。

したがって、3つのパーツの合計が、おおよそ200Wとなります。500W電源ならば、負荷率50%で出力250Wですから、他のパーツを含めると概ね丁度良いと言えるでしょう。

一方、600W電源ならば、ややオーバースペックです。しかし、CPUやGPUを上位のランクにアップグレードすると、大体30~60W程度の上昇となるため、概ね50%前後の範囲に収まります。

ちなみにRTX2060SUPERにアップグレードすると、消費電力は概ね55Wあがるため、このグレード以上のGPUを視野にいれるのであれば、600W電源が望ましいでしょう。

逆に、よほどハイスペックな構成(もしくはHDDを3台以上使うなどの構成)でもない限りは600W以上の電源は不要ということになりますね。

いたずらに容量ばかりを追い求めるよりも、500~600Wクラスの高品質な電源を狙うべきかもしれません。