BCLK調整で性能アップ?PCIeリファレンスクロックとオーバークロックの基礎知識

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CPUやメモリのオーバークロックでは、電圧や倍率の調整を行いますよね。

これ以外にもマニアックなチューニング手法として密かに知られているのが、「BCLK(Base Clock:ベースクロック)調整」です。

BCLKは、CPUやメモリ、PCIeデバイスなどPC全体のクロック基準となる信号であり、その微調整によって性能向上につながる場合があります。

今回は、BCLKの仕組みとオーバークロックへの応用、注意点を詳しく解説します。

BCLKとは何か?

BCLK(Base Clock)とは、PC内部の各パーツが動作クロックを決定するための基準信号です。

具体的には、CPUコアクロック、メモリクロック、PCIe帯域などの計算に利用されます。

例えば、Intel CPUの場合、最終的なCPUクロックは「BCLK × 倍率」で決定されます。

標準では100MHzに設定されており、BCLK 100MHz × 倍率50であれば、5.0GHzとなります。

BCLK調整のメリット

通常のオーバークロックは、「倍率を上げる」「電圧を上げる」ことが主流です。

しかし、一部のCPUやマザーボードでは、倍率ロックがかかっている(KなしCPUなど)場合があります。このとき、BCLKを微調整することでクロックアップが可能になります。

上の例でいえば「BCLK 100MHz × 倍率50」を「BCLK 105MHz × 倍率50」にしてクロックアップするイメージですね。倍率は固定のままで動作性能が上がります。

また、BCLKはメモリクロックやInfinity Fabricクロック(AMD)にも影響するため、システム全体の挙動を微調整できるのもメリットです。

特に、BCLK 100MHz → 101MHz~102MHz程度の微調整は、性能を数%底上げしつつ消費電力や発熱を抑えられるとされています。

BCLK調整のリスクと相性問題

BCLK調整は、すべてのパーツの動作基準に影響を与えるためリスクも大きいのが特徴です。

PCIeデバイスへの影響

最大のリスクは、PCIeデバイスとの相性問題です。

BCLKを上げすぎると、NVMe SSDやキャプチャーボード、拡張カードが正常動作しなくなるケースがあります。

特にPCIe Gen3世代のSSDや古い拡張カードは、BCLKオーバークロックに非常に敏感、認識しなくなる、データが破損するといったトラブルにつながります。

メモリ・IFクロックの安定性低下

BCLK調整は、メモリクロックやInfinity Fabricクロック(AMD CPU)にも影響します。

メモリOCとBCLK調整を併用すると不安定になることが多く、さらに不具合発生時の原因切り分けが困難になることも。

OS起動不可・BIOSリセットのリスク

BCLKを大きく変更すると、OSが起動しなくなることもあります。CMOSクリアやBIOSリセットが必要になり、設定がすべて初期化される手間が発生します。

現行マザーボードのBCLK設定事情

近年のIntel Z790やAMD X670Eなどハイエンドマザーボードでは、BCLK設定項目が細かく用意されています。

特に、外部クロックジェネレーター(外部クロックチップ)を搭載したマザーボードでは、BCLKとPCIeクロックを独立させて調整できるモデルもあります。

このようなマザーボードでは、BCLK調整によるPCIe帯域の影響を最小限に抑えつつ、CPUやメモリの微調整が可能です。

ただし、一般的なエントリー~ミドルクラスのマザーボードでは、BCLKとPCIeクロックが共通になっているため結構リスキーです。

BCLK調整はどんな人におすすめか?

BCLK調整は、KなしCPUのクロックアップや、メモリ帯域を極限まで引き出したいマニアには非常に有効な手法です。

一方で、通常のゲーミング用途や一般的な用途では、体感できるほどの性能差はほぼありません。

また、トラブル発生時の切り分けが難しくなるため、オーバークロック初心者にはおすすめできません。

BCLK調整に挑戦する際は、十分な検証とバックアップ体制を整えたうえで行うことが重要です。