Vdroopを制する者がOCを制す?Load-Line Calibration(LLC)の基礎知識

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CPUオーバークロックの設定画面で必ず目にする「Load-Line Calibration(LLC)」。

「なんとなく設定している」「意味は知らない」という方も多いのではないでしょうか。

LLCは、オーバークロック時の電圧安定性を左右する重要な項目であり、性能・発熱・寿命すべてに影響します。

今回はLLCの概要と仕組み、設定によるメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

LLC(Load-Line Calibration)とは?

LLCは、日本語に直訳すると「負荷線補正」と呼ばれる機能です。

簡単に言えば、CPUにかかる負荷によって発生する電圧降下(Vdroop)を、どこまで補正するかを決める設定です。

CPUは、アイドル時と高負荷時で消費電力が大きく変化します。マザーボードの電源回路(VRM)は、電圧が急変すると一時的に電圧が下がる「Vdroop(電圧降下)」という現象を引き起こします。

LLCは、このVdroopをどこまで抑えるか、または許容するかを調整するための機能なのです。

なぜVdroopが発生するのか?

たとえて言えば、水道の蛇口(VRM)がCPUに水(電圧)を送っていると考えてください。

CPUが急に大量の水を要求したとき、一瞬水圧が下がることがあります。これがVdroopです。

電圧が下がりすぎると、CPUがクラッシュする可能性があります。そのため、蛇口の水圧をあらかじめ高めに設定(LLCで補正)しておくことで、急な水圧低下に備えるイメージです。

LLC設定値とその意味

マザーボードによって表記は異なりますが、LLC設定は一般的にLevel1~Level7、Auto、Normal~Extremeなどの段階で選べます。

Level1はVdroopを許容(緩やかに補正)、Level7はVdroopをほぼゼロにする(強く補正)といった設計です。

LLC設定によるメリット・デメリット

LLCを強く(補正値を高く)した場合

メリット

高負荷時の電圧降下が小さく、オーバークロックが安定しやすい

ベンチマークなど短時間の最大性能を狙う場合に有効

デメリット

アイドル時の電圧が高くなりがち

消費電力・発熱が増加

CPUの劣化リスクが高まる

LLCを弱く(補正値を低く)した場合/h4>

メリット

アイドル?通常利用時の電圧が低く、発熱が少ない

CPU寿命への影響が小さい

デメリット

高負荷時にVdroopが発生しやすく、OC時の安定性に欠ける

電圧の変動が激しいと、システムクラッシュの原因になることも

どのLLC設定が正解?

結論から言えば、用途次第です。

ベンチマーク競技や短時間のスコア狙いであれば、LLCを高めに設定(Level6~7など)し、最大限の安定性と動作クロックを優先します。

反対に長時間のゲームプレイや日常利用であれば、LLCは中程度(Level3~4)に設定し、温度・寿命・消費電力とのバランスを取るのが現実的です。

LLC調整の落とし穴

LLC設定は、数字が大きいほど良いと思われがちですが、過剰な補正は逆効果になることもあります。

補正を強くしすぎると、高負荷時の電圧降下が防げる代わりにアイドル時の電圧が無駄に高くなり、発熱や劣化が進むためです。

また、マザーボードによっては「Level1が最も強い」「Level1が最も弱い」など、表記が逆になっている場合があるので注意しましょう。

必ずメーカーのマニュアルを確認することをおすすめします。