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CPUは自作PCにおける“心臓”とも呼べる存在です。その性能を最大限に引き出すためには、冷却性能が極めて重要ですよね。
しかし冷却といっても、大半の人はせいぜいグリスやクーラーにこだわる程度です。
一方で、ダイを削ったり液体金属を使ったりと、「もう一歩踏み込んだ冷却」に没頭する人々がいます。今回は、非常に奥深い冷却チューニングの世界を紹介します。
グリス交換での温度改善
誰でも手軽にできる冷却チューニングの代表といえば「グリス交換」ですよね。
CPUとクーラーの間に塗る熱伝導グリスは、標準で付属しているものでも問題なく使えます。しかし、性能重視のグリスに交換することで、数度の温度低下が実現できるため、非常にお手軽なチューニングです。
市販されている高性能グリスは熱伝導率が高く、オーバークロックや高負荷ゲーム時でもCPU温度の上昇を抑えてくれます。
液体金属の衝撃的冷却効果
一般的なグリスの性能では満足できなくなったマニアが次に手を出すのが「液体金属」です。
液体金属は通常のグリスと比べて圧倒的な熱伝導率を誇り、条件が揃えば5~10℃の温度低下も見込めます。
ただし扱いは結構面倒ですね。導電性があるためマザーボード上に垂れるとショートを引き起こすリスクがありますから。
さらに、アルミ素材に付着すると腐食する性質があり、塗布する際は最新の細心が必要です。ちなみに私はこの繊細さが嫌で液体金属グリスの使用をやめました。
Delid(ダイ削り)という禁断の選択
さらに冷却性能を求める一部のマニアは、ついに「Delid」という禁断の領域に足を踏み入れます。
Delidとは、CPUのヒートスプレッダーを物理的に取り外し、中のダイと冷却素材を直接接触させる行為です。「殻割り」と言う呼び方もありますね。
Delidでは、ヒートスプレッダとダイの間に塗られているグリスを高性能な液体金属に置き換え、大幅な温度低下を狙います。
前述のグリス交換は、「CPUとCPUクーラーの間に塗られているグリス」を変えますが、DelidではCPUそのものに組み込まれているグリスを交換するわけですね。
作業には専用ツールが必要で、失敗すればCPUそのものを破壊しかねないリスクも伴います。
さらに、ヒートスプレッダを取り外した後は「再接着するか、取り付けずに運用するか」といった選択も求められます。
ただしその効果は絶大で、実際にDelidを行うと10~15℃の温度改善が確認されることも。
実体験と冷却効果の実例
私も過去にDelidを実践した経験があります。Cinebench R23を連続実行し、室温25℃の環境でテストしたところ、Delid前と比べて約12℃もの温度低下を確認できました。
その効果は絶大でしたが、作業中は常に「この作業を失敗したらCPUが終わる」という緊張感がつきまとっていたことを今でも覚えています。
安く「冷えるCPU」を手に入れる裏技的な存在
高性能グリス、液体金属、そしてDelid。どこまで踏み込むかは、その人次第です。私は高性能グリスで十分だと思いますが、今でもDelidをやる人は一定数いますからね。
そもそも現在のCPUは結構丈夫ですし、オーバークロックせずとも十分な性能を持っています。なので「数値で満足する」タイプでなければ、あえて手を出す必要性は無いに等しいですね。