「Wi-Fi 6E」で短距離なら有線LANは不要に?

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2020年1月3日、Wi-Fiの規格を管理する業界団体「Wi-Fi Alliance」は、新しいWi-Fi規格「Wi-Fi 6E」を発表しました。

Wi-Fi 6Eの登場で、近距離なら有線LANが要らなくなるのでは?という噂が飛び交っています。実際のところはどうなのか、スペックなどを見ていきましょう。

Wi-Fi 6Eとは何か?

結論から言うと、Wi-Fi 6Eは全く新しい規格というわけではありません。既存の規格「802.11ax」が新名称「Wi-Fi 6」に置き換わり、その上で6GHz帯が追加されたものです。

簡単に言うと「802.11ax+6GHz」ですね。これまでのWi-Fiは2.4GHz帯と5GHz帯のみでしたから、新しい周波数が利用できるようになったわけです。Wi-Fi 6も普及していない現状では、どれだけ実用性があるのか未知数です。

しかしiPhone11を使用したWi-Fi 6とWi-Fi 5の比較では、約30%の速度差があると言われています。このWi-Fi 6よりもさらに高速という売りですから、一定の効果は見込めそうです。

ここで気になるのが、「有線LANの代替として使用できるか」という点。現状では、PCゲーマーの多くが光回線+有線LANというネットワーク構成を敷いているかと思います。

しかし有線LANは物理的な制約が多く、日本の住宅事情では使いにくいことは間違いありません。例えば1階にルーターを設置して2階の部屋までLANを引くと、日常生活に支障がでることもしばしばです。

一方、速度はともかく安定性や通信の質などは、まだまだ有線LANに分があります。このジレンマを、果たしてWi-Fi 6Eは解消できるのでしょうか。

Wi-Fi 6Eに過度の期待は禁物

同じ部屋の中にWi-Fi 6E対応の無線ルーターとPCが共存しているならば、有線LANは不要になるかもしれません。しかし、「1階にルーター、2階の自室にPC」という構成では、Wi-Fi 6Eが持つ6GHz帯の恩恵は受けにくいでしょう。

Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eを比較すると、周波数帯が追加されているものの「理論上の最大転送速度」は変わっていません。

Wi-Fi規格ごとの最大転送速度と周波数帯

Wi-Fi規格 最大転送速度 周波数帯
Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac) 6.9Gbps 5GHz
Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax) 9.6Gbps 2.4GHz or 5GHz
Wi-Fi 6E 9.6Gbps 2.4GHz or 5GHz or 6GHz

周波数帯が追加されることのメリットは、「PC以外のデバイスとの衝突が起きにくい」ことです。既存の2.4GHz帯はPC以外の家電や周辺機器にも多く使用されており、ノイズや瞬断の原因になります。

一方、5GHzや6GHz帯はPCやモバイルデバイス専用の周波数帯であり、他との衝突が起きにくいのです。ただし、障害物は貫通しようとするため、減衰しやすいという弱点があるわけです。

当面はWi-Fi 6対応で問題なし

ただし、5G通信が当たり前になれば、ローカルネットワークで6GHzの周波数帯を使う意味が出てくるかもしれません。なぜなら、5Gは6GHz以降や28GHzの周波数帯を使うからです。

しかし5G通信が家庭内で有線接続の代替になるかは未知数ですから、当面はWi-Fi 6対応ルーターを使用しておけば問題ないと思います。

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