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ここ数年、ゲーミングPCは小型化が進んでいますが、現在はやや足踏みの状態です。
なぜ小型化が足踏み状態かといえば、PCパーツの小型化が進まないからですね。特に電源は小型化が難しい分野です。
しかし、ついにATX電源も小型化の兆しが見えてきました。今回はATX電源の小型化を促進する「ATX12VO(オー)」を紹介したいと思います。
ATX12VOとは?
ATX12VOとは「ATX 12V Only」の略称で、電力供給を12V帯のみに集約したタイプの電源規格です。
2020年にIntel社から発表されましたが、今のところあまり広まっていません。PCゲーマーの中でも「初耳だ」という方は多いと思います。
一般的なPC用電源は、12Vだけでなく5Vや3.3Vなど複数の電圧帯をもっており、それぞれから独自に電力供給を行います。
また、供給源に応じてコネクタが別れており、それぞれ適したパーツにつなぐ、という形が普通でした。
しかし、近年のPC電源は、高効率化や80PLUS認証への対応によって回路が複雑になっており、これが小型化を妨げる要因でもありました。
一方、ATX12VOによる電源では、こうした複数電圧・複数コネクタをとりやめ、メインとなる12Vのみに集中させています。
12V帯に絞ったことで「電圧の変換、整流に関する回路」を大幅に省くことができ、小型化が容易になるのです。
12Vのみに絞ってもPCは動いてしまう
すでに現代のPCでは、5Vや3.3Vはほとんど使用されていません。もっと電圧が低い1.8Vなども使用されているのですが、これらは電源ではなくマザーボード上のVRMを通じて変換できるため、電源に供給路を作る必要がないのです。
要は、細かく小さな電気の流れはマザーボードなどの機能で生成し、マザーボードまでの電力は12Vに一本化したほうが効率が良いのでは?という考え方ですね。
実際に最近はPCIeの拡張スロット用の3.3V帯も、12V帯から生成できるようになっています。また、HDDや光学ドライブ用のペリフェラルコネクタには5Vが使用されていましたが、どちらもPCパーツとしては絶滅寸前です。
仮に必要だったとしても、12V帯から生成できます。さらにケースファンも5V帯ではなく12V対応で動いてしまいます。
つまり、12V帯さえしっかり供給されれば、もう他の電圧帯はほとんど必要ないということですね。こうした事情から、ATX12VOが生まれたと考えて良いでしょう。
SFXのサイズで600Wも可能
ATX12VOは、電源内部の回路を12V帯出力のみに簡略化できるため、小型化と大容量化を良質しやすいと言われています。
これまで大容量化が進まなかったSFX電源のような分野でも、600Wクラスの容量が実現できそうだとのこと。
SFX電源はスリムタイプのPCやミニPCで使われることが多いのですが、容量が小さいためにGPUを積むことが難しいという欠点がありました。
もしATX12VOが普及すれば、ビジネスPCのようなスリムタイプのゲーミングPCが増えるかもしれませんね。ちなみにATX12VOは2022年3月に「2.0」が発表されています。
個人的には、ATX12VO 2.0に非常に期待していますね。電源が薄く小さくなれば、それだけ小型高性能化が容易になりますし、自作PCがまた楽しくなりそうですから。
また、ATX 3.0による「12VHPWRコネクタ」との組み合わせが可能かどうかも気になります。もしATX12VO 2.0で12VHPWRコネクタが利用できるとなれば、非常に面白い電源ができそうです。