ガチゲーマーが未だにCRTモニターを使う理由

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PC用のモニターは、かつてブラウン管による立方体の「CRTモニター」が主流でした。液晶モニターが主流になってから20年以上たちますから、CRTモニターを見たことがない方も多いと思います。

もはや古の機器ともいえるCRTモニターですが、実はガチゲーマーの一部では未だにCRTモニターを使うことがあるとか。そこには、意外な理由がありました。

CRTモニターは理論上「超低遅延」

100hz以上のリフレッシュレートが当たり前になった現代において、「遅延」は最もゲーマーから嫌われる事柄です。

FPSやシューティングゲーム、格闘ゲームのように反射神経がモノを言う分野では、ほんの少しの遅延がゲームの勝敗に影響します。

そこで、いずれのパーツメーカーも遅延対策を施しているわけですが、なんとCRTモニターは理論上「超低遅延」になるとの話を耳にしました。

2020年10月に、メジャーなガジェット系メディア「Gigazin」で、CRTモニターの遅延に関するお話が掲載されました。

“20年前のブラウン管モニターが4K液晶ディスプレイより優れている部分とは?(https://gigazine.net/news/20201012-crt-lcd-monitor/)”

この記事では、縦スクロールシューティングゲーム「怒首領蜂 大往生」の最高難易度を史上始めてクリアしたプレイヤーが、ブラウン管テレビを縦にしてプレイしていることを伝えています。

ブラウン管とはつまりCRTモニターのことであり、CRTモニターが最新の液晶モニターよりも遅延が小さい可能性があるとのこと。

理屈としては次のように述べられています。

  • CRTモニターはブラウン管の奥から電子ビームを画面内の走査線に照射して画面を映し出す
  • 液晶モニターは本体の背面にあるバックライトから白色光を放出し、いくつかの変更フィルターを通過させて光の透過量を変化させ、画面を映し出す
  • CRTモニターは電子ビームを照射するだけという単純な構造から、理論上は遅延が発生しにくい

技術としては液晶モニターのほうがすぐれているのですが、遅延に関して言えば構造がシンプルなCRTのほうが優れていると論じているわけです。

さらにCRTモニターの愛好家によれば、動きが激しい場合の「ぼやけ」もCRTモニターのほうが少ないのだとか。こうした事情から、平面タイプのCRTモニターを探し回るゲーマーもいるとのこと。

CRTモニターは今でも買えるのか?

実は私も以前、似たような話をきいたことがあります。ゲームとグラフィックデザインを趣味とする友人曰く、CRTモニターは動かなくなるまで絶対に手放さないほうがいいとのこと。

その理由は、単純に遅延やにじみが少なく、品質も良く、映像表示機器として優れているからとのことでした。そこで2022年時点でCRTモニターが買えるのか調べてみましたが、当然ながら新品などありません。

三菱電機やナナオの「ダイヤモンドトロン」がPCモニター市場を席巻したのは1990年代の後半。2004年ころには、CRTモニターの新規製造がほとんど無くなってしまいました。

そのため、今手に入るとしたら「経年劣化で輝度が落ちた中古品」「ジャンク品」などになってしまいますね。

また、ヤフオクなどで検索してもヒットするのは14インチのジャンク品などが大半であり、動作に難ありのものばかり。

しかし、それなりに欲しい人がいるようで、平面CRTモニターとして人気を集めたSonyの平面ブラウン管ディスプレイは、動作が不安定ながら18000円の値段がついています。

さらに、名機ダイヤモンドトロンの22インチ完動品は、2002年の製品ながら30000円で落札されています。20年前のモニターが3万円ですから、やはり需要はあるようですね。

CRTモニターは日本がまだまだ元気だったころにコストをかけてしっかり作られたものが多く、今でも動作するものがあるようです。

しかしゲームプレイに耐えるものが手に入る確率は非常に低いため、どこかで掘り出し物を見つけたら確保する、というぐらいしか打つ手はなさそうですね。

皆さんもどこかに眠っているCRTモニターを見つけたら、ぜひ一度ゲームに使用してみてください。