新規格電源「ATX3.0」とは?高TDPなGPUに対応

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ゲーミングPCの心臓部ともいえる電源ですが、2022年3月時点、出回っているPC用電源の大半は「ATX2.0」という規格です。

ATX2.0が策定されたのは2003年で、実はかなり古い規格。しかし、Intelがついに次世代の電源規格である「ATX3.0」を発表しました。

ATX3.0は、ゲーミングPCの将来にも影響を与えそうな規格ですから、その内容をチェックしていきましょう。

ATX3.0とは?

ATX3.0とは、ATX2.0以来19年ぶりに刷新されたPC全体に対する規格の集合体です。Intelが中心となって定めており、電源やマザーボードなどPCの主要な部品についての仕様を定めています。

PC用電源では、ATX2.0に比べて大きな仕様変更があるため、今後のPCパーツ市場やゲーミングPC市場に影響を与えていくことは確実ですね。

ちなみにATX3.0の概要は以下のとおりです。

  • 追加カード(GPUなど)用の新しい電力供給コネクタ「12VHPWRコネクタ」を追加。最大600Wを供給
  • 12VHPWRには、供給される最大電力に応じてラベルが付与される
  • 最大電力が450Wを超えるすべての電源に、12VHPWRコネクタが必要
  • PCIeに追加されるカード側が電力制限を設定可能
  • 耐久性の向上(年間175,200回オン/オフを想定)
  • 12V帯の電圧最大12.2Vまで上昇、電圧降下を抑制

最大の目玉は新しい電力供給コネクタ「12VHPWRコネクタ」でしょうね。コネクタから600Wもの電力を供給できるという全く新しい仕様です。

12VHPWRコネクタはPCI-Express 5.0に対応したものであり、簡単に言えば「消費電力が大きなGPUにも無理なく対応するためのもの」と言えます。

PCI-Express 5.0に接続するカードはGPUだけではありませんが、600Wもの電力を必要とするのはGPU以外にありませんから。

また、12VHPWRコネクタにはサイドバインド信号と呼ばれる特殊な信号が含まれ、この信号をつかって供給する電力の上限を調整することもできます。

現時点では12VHPWRコネクタの形状として「12pin+4pin」が有力であり、12pinの部分で電力を、4pinの部分でサイドバインド信号を送るとのことです。

ATX3.0で何が変わる?

久しぶりの新規格とはいえ電源なので、ゲーミングPCの見た目が大きく変わる、というものではありません。

ただし、内部の構造や電源の価格は変化するでしょうね。12VHPWRコネクタに対応したハイエンドGPUが出てくれば、電源も相応に上位グレードのものが増えるはずです。

また、12V帯のなかでも特に重要度が高いGPU向けの専用コネクタが強化されたと考えれば、安価な電源でも上位グレードのGPUを扱いやすくなるかもしれません。

ちなみにATX3.0対応の電源は、すでにFSPから発表されており、2022年中には市場に出回るはずです。周辺のパーツの対応状況もありますから、実際にアップグレードするのは2022年後半~2023年にかけてでしょうね。

PCIe5.0どころか4.0も広まりきっていないので、どこまで使われるかは未知数ですが、「高TDPでも安定した動作が可能になる電源が増える」という情報は覚えておいたほうが良さそうです。