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ゲーミングPCの冷却方法はいろいろありますが、一般的には「空冷」と「水冷」に分類されます。
ただし、この2つは環境が整っていなければ威力を発揮せず、コストもかかりますよね。そこで今回は、環境に依存せずコストもほとんどかからない冷却対策として「低電圧化」を紹介します。
意外と知られていませんが、確実に効果がある方法ですので参考にしてみてください。
CPUの低電圧化とは?
CPUは一般的に、標準状態(出荷状態)でTDP(熱設計電力)の目安が示されています。TDPは消費電力量と誤解されがちですが、厳密にいえば「設計上、想定される”最大発熱量”」です。
電力は熱に変換されますので、大まかな消費電力の目安になるため、TDPが使用されているわけですね。ではTDPは何で決まるかというと、おおざっぱに言えば「動作クロック」や「電圧」で決まります。
特に電圧を下げると発熱量はリニアに低下するため、冷却対策としてはとても有効なのです。
CPUといえば電圧や動作クロックを上向きに調整する「オーバークロック」に目を奪われがちです。しかし、逆の発想で電圧を下げてみると、思った以上に使いやすくなることがあります。
CPU低電圧化の手順
CPUの電圧はUEFIで下げることができ、オーバークロック対応のマザーボードであればかなり精密にコントロールできるでしょう。
以下は、CPU電圧を下げるための手順です。
- UEFIからCPU電圧を規定値(出荷時の数値)から0.05V~0.1V単位で下げる
- 再起動してOSに入り、OSが問題なく起動することを確認
- 負荷テストツールなどで30分ほど負荷をかけ、挙動が不安定にならないか確認する
- CPU温度やファンの回転数などを見ながら目標値を割り出す
- 再度UEFIに入り、電圧を下げる(以下、目標値まで繰り返し)
簡単に言えばOCと同じ手順なのですが、ここで注意すべきは「低電圧化による挙動をチェックする」ことですね。
CPUの電圧は、高すぎても低すぎても挙動が不安定になります。特に負荷テストが15分未満で落ちてしまうような電圧は避けるべきでしょう。
OCと同じように「安定動作するギリギリのライン」を見極める作業が肝心なわけですね。OCとは異なり、物理的に破損するようなことはほとんどありませんが、OSが起動しなくなるなどの不具合はあり得ます。
古い考え方ですが、CPUのような複雑な回路では入力電圧と出力電圧にマージンを設け、周囲のノイズに負けないような設計が施していあります。
これを「ノイズマージン」と呼びますが、電圧が低すぎるとノイズマージンが確保できなくなるため、挙動が不安定になってしまうわけですね。
CPU定電圧化のメリット
CPUを低電圧化することで得られるメリットは色々あります。
最も顕著なのは「消費電力量が下がり、発熱量が減る」という点でしょうね。単純に電気代が安くなり、冷却対策が容易になります。
例えば「重い3Dゲームを遊ぶためにハイエンドCPUを買ったが、飽きたのでやめた(もしくは休止した)」という場合には、一時的に低電圧化することで騒音や電気代を抑えることができますよね。
必要になったらまた電圧を上げれば良いので、特にコストはかかりません。
また、「ファンレス仕様」や「セミファンレス運用」を目指す場合にも低電圧化が威力を発揮します。さすがにCPUのファンレスは難しいですが、CPUからの排熱処理を抑えることで全体的な騒音を下げることは可能です。
ただし、最新のIntel製CPUを使用したプラットフォームでは「MTB」や「PBP」によって電力リミットをかなり具体的にコントロールできるため、電圧をいじる必要性は低いかもしれません。
もし、MTBやPBPでも設定しきれないようなラインを狙うなら、低電圧化も視野にいれてみてはいかがでしょうか。