ES版とは?PCパーツの試作品の通称まとめ

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CPUやGPUでは「テスト版」のような位置づけの製品が出回ることがあります。これらは一部のマニアの中で話題になることが多いのですが、最近はネットニュースなどでよく見かけるようになりましたね。

ところが、このテスト版には「ES版」や「QS版」のように複数の呼び方があります。そこで今回は、テスト版や試作版の呼び方やその意味をまとめてみました。

試作品やテスト版には複数のバージョンがある

一般的によく知られている試作品・テスト版の名称は「ES版」や「QS版」ですよね。

こうした呼び方は、その製品が「開発から販売までの中で、どの段階にあるか」「どういう用途で作られたものか」で変わってきます。

具体的には以下のとおりです。

PM (ペーパーマシーン)

PMはSPECシート、つまり仕様書のみの製品という意味です。設計図や仕様書だけが存在し、実際の試作品はまだ製造されていない段階です。

PMは開発初期の段階で使われ、物理的なサンプルはまだ存在しないことが大半ですね。

DS (デザインサンプル)

DSはデザインサンプルの略で、設計段階の試作品を指します。設計図に基づいて実際の部品やプロトタイプが作られ、設計の妥当性を確認するために使用されます。しかし、機能試験の結果は含まれていません。

DS (データサンプル)

DSは、デザインサンプルと同じ略語ですが、こちらは「機能試験の結果つきのサンプル」を指します。設計が完成しており、詳細な機能評価が可能な段階です。

MS (メカニカルサンプル)

MSは、実装性や物理的な特性、部品の適合性など、メカニカルな評価に重点を置いた試作品です。IC(集積回路)が実装されていないことが多いため、電子的な動作は期待されません。代わりに、物理的なアセンブリや接続の評価に使用されます。

ES (エンジニアリングサンプル)

ESは、機能評価用のエンジニアリングサンプルです。ICが実装され、基本的な機能評価や性能評価が行われます。設計の妥当性や不具合の特定など、開発の最終段階で提供されるものですね。

QS (クラリファイド・サンプル)

試作品の一種で、一般的には「クラリファイドサンプル版」とも呼ばれます。これは、特定の試作品が最終的な品質基準に合致し、市場でのリリースに向けて最終的なテストと調整が行われた状態を指します。

通常、量産前の最終評価段階で使用され、稀にフリマなどに出回りますね。QS版は、実際の量産品に非常に近い性能を持ち、製品が市場に投入される前に最終的なテストや調整が行われます。

CS (コマーシャルサンプル)

CSは、完成品に近い試作品で、一般的な製品として量産できる段階を示します。メーカーの保証が付けられ、市場での商品化に向けて準備が整った状態です。需要に応じて量産先行品として提供できます。

ニュースに公開されるリファレンス版のグラボなどは、CS品であることが多いです。またQSとCSを区別しないベンダーも存在するようです。

ES、QS、CSは入手可能だが自己責任で

PMやDS,MSなどは一般的に入手不可能ですが、ESやQS、CSなどはフリマサイトに出回ることがあります。物珍しさなどから購入する人がいるのですが、保証などが受けられないことがあることを理解しておきましょう。

こうしたサンプルは、市販前に提供される宣伝用素材の一部であり、巡り巡って出品されているだけであり、正規に販売されているものではないからです。

以前は秋葉原のニッチな商品を扱うショップで海外製品のQSやCS版が売られていましたが、その時も保証はありませんでした。動作自体は問題ないのですが、ドライバまわりが未成熟であることが多いので、満足に使える保証はありません。

また、最近話題になったRTX3090 SUPERのように、中身が3090Tiと一緒で名前が違うだけというES版もあります。初心者のうちは手を出さないほうが無難ですね。