新世代のAPU「Ryzen Mobile」とは何者か?

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2017年はデスクトップ向けCPUが大躍進しましたが、2018年はモバイル向けCPUにも大きな動きがありそうです。既にIntelは第8世台モバイル向けCPU「Core i7-8550U」をリリースしていますよね。しかし、AMDも負けてはいません。

モバイル向けに「Ryzen Mobile」をリリースし、ゲーミングノートPC市場に旋風を巻き起こそうとしています。

Ryzenに内蔵グラフィックを組み合わせた「Ryzen Mobile」

「Ryzen Mobile」は2017年に登場したRyzenシリーズ同様の「Zen」アーキテクチャを採用し、なおかつ「Vega」アーキテクチャ採用のGPUを内蔵したモバイル向けCPUです。

AMDのCPU+iGPU(内蔵グラフィック)という構成を見てピンとくる方もいるでしょう。そう、この「Ryzen Mobile」はCPUというよりもAPUなのです。

APUといえば、AMDが独自に提唱しているCPU+GPUの統合プラットフォームで、従来のCPU内蔵グラフィックを大幅に強化しています。Ryzenは登場以来、メニーコアCPU市場に旋風を巻き起こしてきましたが、唯一の弱点ともいえる「内蔵グラフィックがないこと」が課題でした。

RyzenシリーズのCPUを搭載すると、必然的に別途GPUが必要で、サブマシン程度を構築するのにもお金がかかってしまうわけですね。こういったRyzenシリーズ唯一の弱点を克服できる存在が、「Ryzen Mobile」を始めとしたRyzen APU群だと考えられるでしょう。

Ryzen Mobileのラインナップ

Ryzen Mobileは既に2017年10月にその一部がリリースされています。また、2018年第2四半期には、新たに下位モデル2つが投入されるとのこと。

下位モデルを含めたラインナップを整理すると、以下のようになります。

Ryzen 7-2700U Ryzen 5-2500U Ryzen 3-2300U Ryzen 3-2200U
4コア8スレッド 4コア8スレッド 4コア4スレッド 2コア4スレッド
2.2GHz~3.8GHz 2GHz~3.6GHz 2GHz~3.4GHz 2.5GHz~3.4GHz
TDP15W TDP15W TDP15W TDP15W
GPU演算ユニット10基(1300MHz動作) GPU演算ユニット8基(1100MHz動作) GPU演算ユニット6基 GPU演算ユニット3基

全てTDP15Wのモバイル向け超低電圧版といえるAPUです。しかも最新のVegaアーキテクチャを採用したグラフィックを内蔵しているため、ゲーム性能もそこそこ持っているはず。

ローエンドからミドルレンジクラスのゲーミングノートPCにとっては、非常に価値の高いAPUになるでしょう。

Ryzen Mobile搭載のゲーミングノートPC「Swift 3」

既にリリースされているRyzen 5-2500Uは、Intelの新しいモバイル向けCPU「Core i7 8550U」とも互角以上に渡り合うマルチスレッド性能を持っています。それに加え、グラフィック性能はこれらに内蔵される「UHD 620」を約20%~100%も上回り、TDP15Wの単体CPUとしてはほぼ無敵の状態ですね。メモリクロックをCPUと共有せず、独立した演算ユニットを持っていることが強みになっているようです。

2018年1月時点では、Acerの「Swift 3」シリーズがRyzen 5-2500U及びRyzen 7-2700Uを搭載しています。日本での発売は未定ですが、本格的に販売されるようになれば、間違いなく台風の目になりそうですね。今から楽しみです。