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PCケースにはエアフローを確保するため、複数のファンが搭載されています。しかし、果たして本当に必要なのかどうか、存在価値を疑うようなものもあります。
そのひとつが「上部ファン」です。空きスロットのままにしている方が上部ファンですが、どのような役割があるのかを考えてみます。
上部ファンの役割は「排気」
まず、上部ファンの役割について整理しておきましょう。上部ファンは、主に「排気」でその威力を発揮します。
「ケースファンはどこに何個搭載すべきか」でも解説したように、一般的なPCケースではフロントファンで「吸気」を行い、背面ファンで「排気」を行います。
このとき、ケース内の温度が高くならず、安定していれば上部ファンは不要といえるでしょう。ミドルレンジクラスのCPU+GPU程度なら、上部ファンを取り付けなくても何ら問題ありません。
では一体、どのようなときに上部ファンが必要になるのでしょうか。
OCに猛暑!上部ファンが必要になるとき
上部ファンは次のようなときに必要になるでしょう。
- OCによってCPUが頻繁に70度を超えるとき
- ハイエンドGPU(GTX1080以上)を搭載し、高負荷で稼働させるとき
- 夏場で室温が30度近く、冷却が不十分なとき
また、かつては「ストレージを複数台積んでいるとき」も上部ファンが必要でしたが、SSDが主流になっている最近では、ケースバイケースです。
SSDは熱に強く、よほど高温にならない限りは冷却の必要がないですからね。上部ファンはあくまでも、「エアフローが確立されている状態で補助的に使う」のがおすすめです。
負圧によるデメリットに注意
ちなみに上部ファンで強力な排気を行うと、PCケース内部が「負圧」状態になります。負圧とは「吸気量より排気量が多い状態」で、「空気を吸い込みやすい状態」です。
この負圧は、空気と共にホコリやゴミを吸い込みやすくなるというデメリットがあります。
例えばフロントファンがないにもかかわらず、背面ファン+上部ファンで排気を行うと、PCケース内にホコリやゴミを呼び込みやすくなります。
ホコリやゴミの蓄積は、パーツの故障につながるため、排気量の増やしすぎには注意が必要です。
上部ファンは「大きめのファン」で「ゆっくり回す」
ケースファンは、口径が大きく回転数が低いほど静かでよく冷えます。上部ファン搭載時は、12センチ~14センチ角のファンを低回転(1600rpm程度)で稼働させるとよいでしょう。
ケース内が負圧に傾きにくく、騒音も発生しません。個人的なおすすめはCorsairの「ML140 Pro」ですね。価格は3000円以上とかなり高価ですが、400rpm~2000rpmの間で回転数を調整でき、ノイズが非常に少ないです。
これをPCケース上部に1~2つ取り付けてゆっくり回転させれば、ほとんどのハイエンドゲーミングPCにおいて十分な排気量を確保できるでしょう。
ただし、吸気もそれなりに確保する必要があるため、フロントファンや底面ファンの稼働も忘れないようにしたいところです。