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縦長の細長い板状羽が回転するシロッコファンは、かつてGPUの冷却ファンとして広く採用されていました。
昔からの自作PCファンの中には、シロッコファンに愛着を持つ方も少なくないと思います。私も結構、シロッコファンの見た目が好きでしたね。あの組み込まれた感じが。
しかし、今はシロッコファンを採用するGPUは稀であり、プロペラファンが主流になっています。なぜ、シロッコファンは避けられるのでしょうか。
シロッコファンはなぜ評価されないのかみ
そもそもシロッコファンは、通常のプロペラファンとは異なり「外排気」を前提としています。
つまり、GPUから放出された熱を空気に載せ、PCケースの外へ直接排気する方式です。この外排気は、PCケース内の温度を上げにくいという強みを持っています。
しかし、シロッコファンはその構造状、大口径化しにくく、小さいファンを高回転で運用しなくてはなりません。
「キーン」という高周波音はそれほど発生しないのですが、「ブーーン」「ウォーン」という低い音が気になります。
また、見た目はスリムになるものの、肝心の冷却能力がプロペラファンより劣ることも少なくありません。最近の高TDPなGPUの冷却方法としては、やや力不足なのです。
私の個人的な感覚では、TDP100W程度のローエンド~ミドルレンジGPUならば、シロッコファンでも十分に冷やせると感じました。
しかし、これ以上のGPUになると、やはり大型のプロペラファンを1~2基搭載したモデルのほうが、総合力は上です。つまり、静音性・冷却能力のどちらも微妙なのです。
こうした事情から、一般的なGPUではシロッコファンが避けられるようになったと推測されます。
シロッコファンなGPUが活きるシーン
ただし、今でも数は少ないながらシロッコファン搭載モデルが売られています。「冷えにくいしうるさいのになぜ?」と感じるかもしれませんが、シロッコファンにはそれなりの強みがあるのです。
例えば以下のような場合。
- Mini-ITXなどPCケースが小さくエアフローが確保しにくい
- 排気口が少なく熱がこもりやすい
- そもそもPC内部にケースファンを設置できるポイントがない
このように小型化されたPCでは、「冷やそうにも空気を流すためのリソースが無い」という状況が発生します。
こうした場合にはシロッコファンが大活躍するでしょうね。プロペラファンよりも風量を確保しにくい反面、外排気であることで熱気をPC内部に吐き出さないシロッコファンは、エアフローに左右されない冷却能力を持っています。
絶対値としては小さいものの、一定の冷却能力を常に発揮しやすいシロッコファンは、小型PCにこそ適しているのです。
簡単に言えば「小さくて窒息気味なケースはシロッコファンが良い」ということになると思います。実際、CPUクーラー以外にケースファン設置ポイントがないような小型ケースでは、シロッコファンの外排気がありがたかったです。
シロッコファンでも高級モデルは優秀?
シロッコファンは、ファンの品質によって冷却能力・静音性がかなり変わるため、一部の高級モデルでは高い評価があるようです。
私は使ったことがありませんが、プロペラファンよりも構造が複雑で硬直的ですから、品質の差が出やすいのかもしれないですね。
ただし、今はミドルレンジまではプロペラファンで良いですし、より高い冷却能力を求めるならば水冷という選択肢もありますから、シロッコファンの出番は少ないかもしれません。
特に水冷化が手軽になってからは、エアフローを確保しにくい小型窒息ケースも十分な冷却ができるようになりましたからね。今は完全に「玄人の趣味」と化している気がします。