※当ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
ゲーミングPCの価格が高止まりする中で、「中古スリムデスクトップのゲーミングPC化」を試す人が増えているようです。
これは昔からある手法のひとつで、格安の本体+中古のGPUを組み合わせ、5万円程度でコスパ最強のゲーミングPCを作ってしまうというもの。
たしかにこの方法はコスパが非常に良いのですが、2022年の状況を考えると「最強」とは言えないかもしれません。
そもそもGPUが高いため効果が薄い
GPUのみを中古の本体に追加する「中古スリムデスクトップのゲーミングPC化」は、GPUの価格が適正であれば非常にお得です。
しかし、ご存じのように2020年からGPU価格が上昇し始め、現時点(2022年1月)では2019年比で2倍近い価格になっているモデルもあります。
特にロ~ミドルレンジクラスのGPUは値上がり率が高く、使い勝手の良いGTX16シリーズは軒並み2倍近い価格。さらに中古市場にも出回っていません。
中古のスリムデスクトップは、Skylake世代のCPUまで遡れば2万円台から購入できるものの、GPUが4~5万円しますので、トータルでは新品のBTOパソコン比で7~8割にまでコストが膨れ上がってしまいます。
故障のリスクやスペックの低さを考えると、正直あまり割に合わないなと…。私も知人に質問されたとき、この方法はおすすめしなくなりました。
また、価格以外でも実はさまざまな問題を抱えています。
「中古スリムデスクトップのゲーミングPC化」で注意すべき点
「中古スリムデスクトップのゲーミングPC化」においては、以下2つの問題点があります。
1.電源容量が小さい
中古スリムデスクトップは、HPやDELLなど名だたる大手メーカー製のものが多いです。これらはリース切れ等のタイミングで大量に放出されるため、程度も良く、品数も豊富です。
CPUの世代はSkylake(第6世代)以降のものが多く、現在でもまだまだ現役レベルです。しかし、「電源容量」に大きな問題を抱えているものばかりです。
例えば、Lenovoの「ThinkCentre M700」は、電源容量が180W。HPの「HP Compaq Pro 6300SF」の電源容量は240Wとなっています。
どちらも品質は問題ありませんが、ゲーミングPCの電源としては容量が小さすぎます。この容量で満足に動かせるのは、GTX1050やGTX1650未満のクラスであり、ゲーミングPCとしてギリギリの水準です。
また、こうしたローエンド帯のGPUであっても、高負荷時の消費電力次第では動作に問題が出るでしょう。具体的には「カクつき」が生じてろくにプレイできない可能性があるのです。
ちなみにメーカー製のスリムデスクトップは、独自設計の電源であることが多く、その場合は通常のATX電源との交換は不可能だということを覚えておいてください。
2.ロープロファイル版しか積めない
スリムデスクトップPCの仕様をよくよくチェックしてみると「拡張スロット」の部分に「ロープロファイル 16x PCI Express」といった記述を見つけることができます。
つまり、通常版よりも背の低い「ロープロ版GPU」しか積めないのです。一般的にゲーミングPCの「幅(厚み)」は、そのままGPUの高さになりますから、当然といえば当然なのですが…。
ロープロ版のGPUを探してみるとわかりますが、非常に選択肢が少ないです。2022年時点ではまともなロープロ版がGTX1650しかないので、これ以上の性能は望めないことになります。
尺が短い「ショート基盤」ならばRTXも選択肢に入るのですが、ロープロ版は稀なのです。
GPUが高止まりしている現状ではコスパ最強と言えない
このような問題を考えると、「中古スリムデスクトップのゲーミングPC化」をあまりおすすめできません。
もし、通常のATXサイズのビジネスPCがベースであれば問題ありませんが、格安のデスクトップとして放出されるPCの大半はスリムタイプですからね。
また、中古のGPUさえ高騰している今は、おとなしくBTOパソコンを選んだほうが賢いかもしれません。