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ゲーミングPCのオーバクロックは「室内気温が低いほど有利」と言われることがあります。
確かに一理あると思うですが、「低温が必ずしも有利ではない」という実験結果もあります。
そこで、実際の事例をもとに、OCと気温の関係を整理していきます。
雑誌企画で行われた「極寒の地でOC」
数年前、PC界隈では有名なとある雑誌の企画で、「北海道の極寒の地でOCを試す」という企画がありました。
なかなか面白い企画で、マイナス15℃を下回る環境ではどの程度のOC耐性があるのかを検証していました。
当時の私は「さすがにそこまで寒い環境ならば、CPUファンが無くてもある程度はOCできるのかな?」と考えながら読み進めましたが、結果は予想外のもの。
簡潔にまとめると、
- いわゆる剥き出し型のマナ板状態で、PCを組む
- マイナス15℃を下回る屋外で、むき出しのPCをOC
- 結果は「トラブルが続いてろくにOCできなかった」
という感じですね。トラブルについては、「モニターが起動しない」「BIOSがSSDを認識しない」「通常の室温よりも明らかに高い頻度でサーマルスロットリングが発生」といった散々な内容。
要は、予想に反して室内で行う通常のOCよりも圧倒的にパフォーマンスが悪かったのです。なぜここまで酷い結果になったのでしょうか。
PCは「低温も敵」
一般的にPCが正常に起動する気温は0℃~40℃くらいだと考えてください。パーツ単位ではもう少し幅が広く、SSDでいえば0℃~70℃くらいが動作可能な範囲です。
ここでよく見てほしいのが、低い方のリミット。高温ばかりに目が行きがちですが、実は0℃近辺もPCがうまく起動しないレッドゾーンなのです。
寒冷地で朝起きてすぐにPCを起動すると、うまく起動できないことがあるのはこれが原因ですね。マザーボードにしても低音すぎるとSSDなどを認識できない可能性が高くなりますから。
もうお分かりかと思いますが、上の企画でOCが失敗に終わったのは「マイナス15℃を下回る極低温環境」にあったのです。
CPUをOCするまえに、その土台となるマザーボードやSSDが正常に動作しないわけですね。早い話が「動作環境が不適切すぎて、OCどころではない」のです。
極寒の地の失敗から学ぶOCの肝
この雑誌の企画が失敗したことで、OCには次のようなポイントが大切だということがわかります。
- 室温は「極寒でも高温でもなく適温が有利」
- SSDやメモリ、マザーボードの挙動が安定する気温であることが大前提
- 室温は0度までであれば低い方が有利だが、CPUやGPUをしっかり冷やすほうがより重要
OCはサーマルスロットリングを発生させないことが成功のポイントですが、それ以上に「ベースである他のパーツを安定して動かせること」がより重要です。
高温ばかりに目が行きがちですが、日本の環境で言えば実は高温側のほうが余裕があり、低温はシビアです。
特に冬は結露などで湿気がたまりやすかったり、窓際や夜間の放置なので0℃を下回ってしまうこともあります。逆に夏はケースないが超高温にならないよう、直射日光を避ける必要があるでしょう。
春や秋ならば問題ないのですが、6~9月と12月~2月は温度管理を徹底することがOCを安定させる条件と言えそうですね。