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ゲーミングPC向けのメカニカルキーボードは「軸」の種類によって、打鍵感が大きく変わってきます。
打鍵感は快適さやタイピングスピードに影響を与えるため、軸選びは非常に大切です。しかし、よく考えるとあまりメリットがない軸があることも事実。
誤解を恐れずに言えばメジャーな軸のひとつ「青軸」は、あまりメリットがないように思います。そこで、わざわざ青軸を選ぶ意義を考えてみました。
青軸の特性
まず、青軸の特性をおさらいしておきましょう。
青軸は、メカニカルキーボードに採用される軸の中でも特に「クリック感」と「押下圧」が高いです。
クリック感とは「カチッ」という感覚のことですね。また、押下圧はキーを押し付けるために必要な力を指します。
青軸を使うとすぐにわかると思いますが、「カチッ!カキッ!」とした独特の感覚と、重さと反発力のあるキーが印象に残りますよね。
このクリック感と押下圧が独特の「やってる感」「操作している感」を生み出して、作業者のテンションを上げてくれるわけです。
また、入力している感覚がはっきりするため、「キー入力が正確に行われていること」を感じ取ることができ、作業ミスが減るというメリットもあります。
たしかに青軸は、10~20年ほど前までは非常に良い選択肢のひとつでした。私の周囲でもPCゲーマーの多くが青軸を選択していた時代があります。
しかし、今は青軸以外にもさまざまな軸が登場しており、以前に比べると青軸のメリットは相対的に低下したと言わざるを得ません。
実際はただ疲れるだけ?
青軸のほかにも、赤軸や茶軸、黒軸、メーカー独自の軸(ロジクールのRomer-Gなど)があります。
正直なところ、青軸はいわゆる「感覚に極振り」した軸であり、実用性という観点ではほかの軸に見劣りすることがあるのです。具体的には、以下3つですね。
長時間のタイピングにおける疲労感
疲労感は、押下圧が低いほうが有利です。キーが重いと、どうしても長時間使用では疲労がたまりやすく、小さな力でスムーズに打鍵できる赤軸が有利になりますね。
ちなみに一般的な青軸の押下圧は約60cN。これに対して赤軸は45cNです。数字が小さいほどキーが軽くなるので、赤軸は青軸の75%ほどの力で打鍵できることになります。
静粛性
夜中や早朝にゲームに没頭していると、打鍵音が気になりませんか?打鍵音があまりに大きいと、自分自身に負荷をかけてしまうことがあります。
青軸は数ある軸の中でもクリック音や打鍵音が大きい傾向にあり、ほかの軸よりも静粛性が低いのです。
それなりに高い
メジャーで実績のある軸だけに、青軸を採用したキーボードはそれなりの値がついています。しかし、最近はメーカーの独自軸などを採用した安価なキーボードも登場していますよね。
独自軸はメジャーな軸に負けず劣らず優秀で、しかも安いです。前述のロジクール製Romer-G採用キーボードなどは、1万円未満でそれなりに使えるキーボードを出しています。
それでも青軸を選ぶ理由は?
ここまで青軸のデメリットを挙げると、わざわざ選ぶ理由がないように思えてきますよね。実際、私もそう思いました。
しかし、周囲の青軸愛好家に意見を聞いてみると、それでも青軸には優位性があるのだそうです。具体的には以下のようなポイント。
- クリック感が体になじんでいて、クリックした感覚がないと次のキーを打ちづらい
- 「カチカチ、チキチキ」という音が脳の刺激になってやる気が出る(無音だとやる気が出ない)
- キーの重さがある反面、反発もしっかりしてくれるので相対的に使いやすい
ちなみに私の友人のひとりは、青軸から赤軸に移行した後「リズムが乱れて疲れる」といって青軸に戻していました。どうやら青軸は、ユーザーの心と体をわしづかみにする中毒性があるようですね。