コイルも磁石もないソリッドステートスピーカーとは

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PCゲーマーの中には音にこだわりを持つ方が少なくありません。こうした音へのこだわりは、スピーカーの質に行き着きます。

しかし、スピーカーはどちらかといえば枯れた技術で、近年はそれほど大きく進歩していませんよね。そこで、コイルも磁石もないスピーカー「ソリッドステートスピーカー」に注目してみてください。

独自のサウンドアクチュエーター「ソリッドステートスピーカー」とは

従来のスピーカーは、音を作り上げる際にコイルや磁石を使用する方法が一般的でした。しかし、この方法にはスピーカー間の音量や位相のばらつきが生じるといった課題があり、イヤホンなど小型化が求められる機器には向かないという問題点がありました。

こうしたスピーカー技術の課題を一新する可能性を秘めた技術が「ソリッドステートスピーカー」です。

ソリッドステートスピーカーは、コイルとマグネットの代わりに、薄膜ピエゾ技術を使用したサウンド・アクチュエータを使用しています。

この技術では、シリコンに層状に塗布されたフィルムが空気を動かし、音を出す振動板となります。電圧がシリコンで作られた部品によって音波へと変換されるため、音の質も高く共振の副作用がありません。

具体的には、共振部品による音の濁りや変色がないため、デジタル化されたロスレスオーディオや空間オーディオなど、より高品質なオーディオコンテンツの再生に適しています。

ソリッドステートスピーカーは普及していくか?

ソリッドステートスピーカーの利点は、物理的な振動部分が少ないことです。HDDからSSDへの移行のように、スピーカーも半導体部品による製造に変化し、より高品質なサウンドを提供することが期待されています。

半導体製造工場が増え続けている現在の状況を考えると、スピーカー製造への転用は容易であり、普及が進んでいくとの見方が強いですね。

2014年に設立されたUSoundの最高技術責任者、アンドレア・ルスコーニ・クレリチ氏によれば、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)と呼ばれる技術をベースにしたソリッドステートスピーカーは厚さ1ミリメートルまで小型化可能とのこと。

スマートフォンやイヤホンなどの機器に使用される一般的なスピーカーの4分の1の厚さにまで薄型化できるようで、従来のスピーカーの課題であった小型化を容易に達成しそうです。

このように、ソリッドステート・スピーカーの技術革新は、音響業界における大きな転換点となる可能性を秘めています。

いくつかの懸念点も

このソリッドステートスピーカーですが、いわゆるコンデンサー型の圧電スピーカーとして過去にも類似の仕組みがあったようです。

当時は「低音が不足する」「絶対的に音量が小さい」「音圧が感じられない」などマニアからは不評であったとのこと。しかし本格的なオーディオならともかく、PC用のスピーカーとしては優秀かもしれません。

PC用のスピーカーは、小型でそこそこの音が求められますし、現在のスピーカーは小ささ=しょぼい音という図式が成り立ってしまっているので、これを解消するにはもってこいのような気がします。

従来のピエゾ式スピーカーはいわゆる「ツイーター」としては重宝されるようですが、低~中音域の出方がどうなるか気になりますね。重低音は望めないまでも、高音から低音まである程度しっかり出てくれれば、購入してみたいです。

PC向けのスピーカーとしてはまだ具体的な製品がないようなので、続報を待ちましょう。