AM5世代のCPUはグリスが塗りにくい!なぜあの形状?

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ソケットAM5に変更されてから、AMDのCPUはちょっと評判が芳しくないですね。その理由のひとつが「CPUのヒートスプレッダの形状」にあるようなのです。

確かに独特な形状ですし、端的に言えば「グリスが塗りにくくて仕方ない」ですよね。そこでAM5世代のCPUの形状について調べてみました。

AM5世代のCPU形状は「パズルのピース」状

AM5世代のCPUといえば、四辺が凹凸になっていて、まるでパズルのピースのような形状をしていますよね。

登場した当初は「近未来的だな」と感心したのですが、どうやら実際に扱うゲーマーからは不評なようです。

まず第一に、グリスが塗りにくいです。グリスは平たく伸ばすので、端っこの凹凸がどうしてもグリス漏れを誘発します。

次に、凹凸に合わせるようにソケットをデザインしたからなのか、フタ(おさえ)の部分の作りが荒いですね。このせいで、ヒートシンクとの密着度が低下し、熱がうまく伝わっていないという疑惑があります。

うまく付き合っていくしかないとはいえ、なぜこのような独特な形状になったのでしょうか。

AMD製CPUのヒートスプレッダが独特な理由

完全に自己流ですが、AM5世代のCPUヒートスプレッダの形状が独特な理由について調べてみたところ、下記のように結論付けられそうです。

機械的な強度の向上

凹凸のある設計は、CPUとソケット間の接触圧力を均等に分散させる役割を持っています。CPUの取り付け時や運用中における物理的な負荷が分散され、ピンの損傷やソケット自体の曲がりを防ぐ効果があるとのこと。

熱伝導の最適化

高いTDP(Thermal Design Power)に対応するため、凹凸によって熱を効率的に放散させる設計となっています。特に、AMDのRyzen 7000シリーズでは、最大170WまでのTDPをサポートしており、高性能を維持するためには効果的な熱管理が必須です。

冷却システムとの互換性

AM5のIHS設計は、既存の冷却システムとの互換性を保ちつつ、新しい冷却技術にも対応できるようにするためにこの形状になったとのこと。

異なるタイプのクーラー(例えば水冷や大型のエアクーラー)との間で最適な熱伝導が行われるようになっています。

つまり、強度・発熱・互換性という3つの理由からあのパズルのような形状になったとのことなのですが、私の見解では熱伝導の問題を解決するためだと思いますね。

異常な発熱量を少しでも緩和するために、表面積を増やすための苦肉の策だったのではないでしょうか。皮肉にもヒートシンクへの熱伝導という点で問題が出そうですが、技術的にはしっかりと理由があったわけです。

凹凸を埋める補助パーツの導入も視野に

実際にこうしたデメリットを回避するために、凹凸部分を埋める専用のパーツが発売されています。例えばこういうものですね。(https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/news/news/1513066.html

こういうサードパーティー製の補助パーツが発売される製品は、短命に終わる可能性が高いです。しかしAMDはソケットの規格変更を比較的長いスパンで行うことから、あと数年はこのままな可能性もあります。

X3Dシリーズなど非常に優秀なCPUも登場しているので、AM5自体がダメというわけではありません。ただヒートスプレッダの形状は改善してほしいものです。どう考えても使いにくいですから。

AMDに要望のメールを送るなど、個人的にも微力ながら活動してみます。