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ほんの数年前まで、PC用のCPU市場は米国企業であるIntelとAMDが独占している状態でした。今も基本的にこの流れは変わっていませんが、ここ数年で無視できない存在になっているのが中国です。
中国は今や、国内で独自のCPUを製造するまでに至っています。
中国製CPUの性能は?
中国では「兆芯(ちょうしん、ザオシン)」というCPU製造企業が急激に力を増しています。兆芯製のCPUは、すでに中国国内の官公庁や大企業に向けて出荷されており、中国に限って言えば一定のシェアを誇っていました。
しかし、一般向けのPCに搭載されることはほとんどなく、いわば「官公庁・大企業専用」のCPUだったわけです。ところが、2021年4月、兆芯製のCPUを搭載したデスクトップPCが一般向けに発売されることが明らかになりました。
これは23.8型液晶一体型PC「C24 Air」で、搭載されているCPUは兆芯製x86互換CPU「KX-6640MA」。
KX-6640MAのスペックは以下のとおりです。
KX-6640MAのスペック
・4コア4スレッド
・16nmプロセス
・2.2~2.6Ghz動作
ちなみに、CineBenchR20のスコアも公開されていました。
KX-6640MAのCineBenchR20スコア→「339」
スコアだけを見るとIntel製CPUの最下位モデルと大差ない性能のようですね。参考情報としてIntel製CPUのスコアも見てみると、Celeron N4020が「301」、 Pentium N4200が「371」です。
Celeron N4020は2019年後半に発売された廉価型CPUで、2コア2スレッド、1.1~2.8GHz動作です。Pentium N4200は、2016年製のCPUで、4コア4スレッド、1.1~2.5Ghz動作。
つまり中国製CPUの最先端は、3~5年前のIntel製CPUの廉価版モデルと同等のレベルと言うことができます。
2021年時点では「ネットブック」レベルだが…
2021年春時点では、中国製CPUは「ネットブックとして何とか使えるレベル」と言えるでしょう。ブラウジングや動画視聴などは問題ないとしても、ゲーミングPCに搭載されるレベルとしてはかなり厳しいですね。
そもそも内部GPUがあるのかどうかもわかりませんが、GPUを別途載せたとしても、その性能を引き出すことができるかは疑問です。
したがって、「ゲーミングPCに載せるレベルではない」と言い切っていいと思います。しかし、今後はわかりません。
そもそも兆芯製のCPUは、15年ほど前にCPU市場の一角を担っていた「VIA製CPU」の血を受け継いでいます。VIAはIntelとAMDにほぼ駆逐されてしまいましたが、低消費電力でそこそこ使えるCPUでした。性能はあまりよくありませんでしたが…。
兆芯製のCPUはVIA製の定電圧CPUの「VIA Nano」をリファインしたものと見られています。つまり、技術的なベースはあるということ。
CPUのように超複雑で高性能な機械は、技術的なベースの有無で発展性が大きく変わります。完全にゼロから作ったCPUではないため、今後の開発体制次第では、それなりのものへの成長していく可能性も否定できません。
ちなみに中国製のGPUも発表されていますから、いずれは「中国製のCPU+GPU」によるPCが大々的に出てくるでしょうね。
そうなると、普及のために対応するゲームが作られる可能性もあります。中国製CPUがゲーミングPC界隈に登場する日は、そう遠くないのかもしれません。