なぜ3倍も違う?マザーボードの価格差の中身

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「マザーボードはケチるな」という人もいれば「マザーボードは廉価版で問題ない」という方もいます。

マザーボードの価格は1万円~3万円超と幅広く、お金をかけるべきか節約するべきか、判断が分かれるパーツです。

ここで気になるのが「なぜ3倍以上も違うのか」という点。そこで、マザーボードの「価格差」の正体を整理してみました。

高いマザーボードと安いマザーボードの違い

結論からいうと、3倍の価格差は、以下のような要素で決まります。

VRM(電圧レギュレータモジュール)の数

VRMはCPUに供給される電圧を調整するためのパーツで、これが多いほど品質が高く安定するとされています。

一般的にVRMは「フェーズ」という言葉で表され、フェーズの数が多いほど電圧を一定に保つ力が強いと考えてください。

ただし、ハイエンドCPUのオーバークロックをしないような場合は、それほど気にする必要がありません。

コンデンサの品質

電解コンデンサ(小さな円柱のような部品)の品質が高いと、耐久性があがり長持ちすると言われています。

しかし、現在は電解コンデンサ自体が高品質化しており、日本製以外のものでも壊れにくくなっています。

PCIレーン数

PCIレーン数が多いと、GPUなどPCIレーンを使用するパーツを搭載できる数が増えます。端的に言えば、拡張性が上がるわけですね。

LANの数

ネットワークケーブルを差し込むLANの数は、廉価版であれば1個ですが、ハイエンドマザーボードでは2個以上の場合が多いですね。

NASなどを組み込んだホームネットワークを構築する場合は、LANの数が多いと便利です。

その他

オンボードRAID機能の有無、オプティカルアウト(オーディオ光デジタル出力)、無線LAN機能などは高価格帯のマザーボードに搭載されていることが多いです。

逆に廉価版のマザーボードでは、こうした機能が省かれています。

高いマザーボードと安いマザーボードを併用した結果

ここからは、あくまでも私の個人的な経験です。これまで10年以上にわたり、1万円前後のマザーボードと3万円クラスのマザーボードを並行して使用してきました。

メインPCには3万円クラス、サブPCには1万円前後の廉価版マザーボードといった組み合わせだったのですが、以下のように総括することができます。

  • 少なくとも2010年以降のマザーボードには、価格による耐久性の差はなかった(どちらも5年以内の故障は一度もなし)
  • PCIレーン数は、GPU1枚刺しに限って言えば最低限で問題なし
  • マザーボードの価格差は「CPU・GPUともにミドルレンジ以上」で「OCを行う」といった環境でなければ体感しにくい

私は高価格なマザーボードを否定しているわけではありません。むしろここ10年で購入したマザーボードは3万円前後の高価格帯のものが多かったです。

しかし、高価格帯マザーボードの恩恵を最も感じられたのは、サウンドチップの性能が低く、GPU2枚差しが流行した2000年代だったように思います。

今は、オンボードサウンドの品質がとても良いのでサウンドボードの増設がマストではありませんし、USB DACで代用も可能です。また、GPUは1枚で十分すぎるほどの性能を持ちます。

そのため、PCIレーン数はそれほど要りません。また、電解コンデンサの破裂やふくらみに至っては、10年近く見たことがないので、これは価格に関係なく品質が上がっているのだと思います。

マザーボードにお金をかける時代ではないかも?

近年はCPUの世代が上がるごとにスロットの仕様が変わり、マザーボードも買い替えになることが多いです。

どんなに長持ちしたとしても、CPUを更新するタイミングでマザーボードの買い替えが発生します。

高価格帯のマザーボードは、保護回路や安定性、拡張性をアピールしていますが、逆に言えば「5年程度問題なく使えればよい」のであれば、高価格品は不要かもしれません。

実際にBTOパソコンメーカーが採用している廉価版マザーボードは、本当に壊れませんから。マザーボードよりもCPUやGPU、電源にお金をかけたほうが良い気がします。