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ゲーミングモニターには次々と新しい技術が投入されますが、ここ2年ほどで特に目に付くのが「QD(量子ドット)」系のモニターです。
今回はその中から、色彩表現が非常に優れている「QD-OLED」を紹介します。テレビにも採用されている技術で、今後のゲーミングモニターの台風の目になるかもしれません。
QD-OLEDとは何か?
QD-OLEDは、「QD(量子ドット)」と「OLED(有機EL)」という2つの技術によって成立している表示方法のことです。
量子ドットは、極めて小さなナノスケールの半導体粒子であり、この粒子は光の特性に応じて異なる波長の光を放出する能力を持っています。
一方、有機ELは、有機材料の発光特性を利用して薄くて柔軟なディスプレイを作成する技術です。
QD-OLEDでは、量子ドットが有機EL層に取り込まれ、これによって高い色再現性と効率的な光の発光が可能になります。
もともと有機ELパネルは、単体では液晶と同等の明るさを実現できないとされてきました。赤、緑、青(RGB)有機EL画素それぞれの輝度を高めるサブ画素(白色)があって初めて成立するからです。
しかしQD-OLEDでは、量子ドット層を追加することにより、サブ画素有機ELを完全な青色有機ELパネルに置き換えることが可能です。量子ドットは、特定の周波数の光が当たると発光し、赤色と緑色をつくり出します。
つまり、追加のカラーフィルター処理によって色を生成する必要がなくなり、従来の有機ELパネルよりも輝度を高めることができるようになったわけです。
簡単に特徴をまとめると「有機ELでありながら液晶以上の輝度と色表現が可能になる技術」と言えます。
QD-OLEDのメリット
もう少し具体的にQD-OLEDのメリットをまとめると、以下のようになります。
広色域と高い色再現性
QD-OLEDモニターは、従来のディスプレイ技術よりも広い色域を提供し、特に鮮やかな色や微妙な色合いを再現する能力があります。
これは、量子ドットの光学特性によるもので、映画やゲームなどのコンテンツをよりリアルに魅せることができます。
高い輝度とコントラスト
量子ドットは高い輝度を実現し、暗い部分と明るい部分のコントラストを際立たせます。これにより、暗いシーンと明るいシーンが同時に存在する場面でも、鮮明な画質を保つことができます。
電力効率の向上
量子ドット技術は、効率的に発光を可能にするため、電力効率が向上するとされています。画面全体が均一に照らされるため、消費電力を抑えながら高品質な表示が可能です。
薄型デザインと柔軟性
有機EL技術の利点である薄型で柔軟なデザインを活かし、軽量でスリムな形状を実現します。さらに、曲面ディスプレイや折りたたみ式ディスプレイといった新しい製品にも対応できるようです。
長寿命と耐久性
量子ドット技術は色の劣化が少ないため、長期間にわたって一貫した色再現性を提供します。有機ELの進化と相まって、今後は耐久性の向上も期待されています。
優秀だがまだまだ高いQD-OLEDモニター
このように技術的にはかなり優秀なQD-OLEDですが、実際のゲーミングモニターはまだまだ高いですね。
例えば、DELLの34インチサイズQD-OLEDモニター「ALIENWARE AW3423DWF」は約128000円です。発色や明るさ、視野角など全てにおいて高評価を得ているモニターですが、一般的なIPS液晶ならば3分の1の価格で買えてしまいます。
もっともUWQHDなの通常の24インチディスプレイ2台分以上の恩恵があるわけですが、それでもやはり高い。まだまだ、一部の上級者のみが使っているという状況ではないでしょうか。
ただし、QD-OLEDモニターは今後人気が出ると思いますので、売れ方が良ければ価格もこなれてくるはずです。個人的には、32~34インチが10万円を切るようになれば、手を出したいですね。