「PCのサイドパネルを外すと意外と冷えない」は本当か

※当ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

猛暑の時期が近づいてくると、PCゲーマーたちはさまざまな冷却方法を試すようになります。

この冷却方法の中で、昔から定期的に話題になるのが「サイドパネルを外してしまう」という方法。私もやったことがあります。

しかし、やった方はわかると思いますが意外に冷えません。原理的には大量の空気が出入りして冷えそうなのですが、なぜそれほど効果がないのでしょうか。

サイドパネルを外すと何が起こる?

本来、PCにはエアフローが発生しており、空気が適切に出入りすることで熱移動が起こっています。

この「空気が適切に出入りしている」という状態が非常に重要なのです。サイドパネルを外すと、確かに空気が出入りできる「面積」は増えます。

しかし、「空気の通り道=エアフロー」自体は乱れてしまい、パーツを効率よく冷やせないことが多いのです。

これでも納得がいかない方は、「ベルヌーイの定理」で検索してみてください。

ベルヌーイの定理は、流体力学における基本的な法則の一つで、流体のエネルギー保存に関する定理です。

流れの中の任意の2点でエネルギーの総和が一定であることを示していて、流速が速いところでは圧力が低く、流速が遅いところでは圧力が高くなるという関係が理解できます。

まあこれは原理的なお話なので、もっと身近な例を出しましょうか。例えばホースに水を流した状態で、1点を指でつまむと勢いが増しますよね。

また、車に乗っているときに前方と後方の窓を対角線上にあけると、勢いよく空気が流れます。これは流速と圧力が変化し、「流れの速いところ」と「出口」が確保できているからです。

PCケースも同じで

  • あえて密封状態にし
  • 圧力変化を作り(空気の出入口を絞り)
  • 空気の通り道とパーツの場所を一致させる

という3点を満たすことで効率よくパーツを冷やしています。なのでサイドパネルを外してこのパターンを崩してしまうと、意外と冷えないのです。

サイドパネルを外して冷却能力を上げるには?

とはいえ、サイドパネルを外したことで空気の出入り口が大幅に大きくなり、「流体の量」が増すことには違いありません。

問題は「勢いがないこと」「ピンポイントに空気が当たらないこと」の2点。つまり、この2点を克服すればサイドパネルを外して冷却能力を上げることができます。

簡単なのは「扇風機やサーキュレーターで直接風を当てる」ことですね。特性を考えるとサーキュレーターのほうがベターかもしれません。

余談ですが、扇風機は「前方と外側に空気を拡げながら送る装置」であり、サーキュレーターは「前方に、かつ渦上に空気を直進させる装置」です。

サーキュレーターの風のほうが指向性が強いので「空気の通り道」になりやすい、つまりPCのエアフローに似た流れを作ることができます。

サーキュレーターは小型で強力なものが多いので、サイドパネルを外したPCとの相性もよさそうですね。安くて取り回しも楽ですし。

実はこの「サイドパネル外し+サーキュレーター直あて」は非常に冷却効果が高く、水冷以上になることもあります。

実際に知人でひと夏をこの状態で過ごした人がいますが、ハイエンドグラボを室温27度くらいでぶん回しても、水冷と同じくらいの温度だったとのこと。

もし興味がある方は「サイドパネル外し+サーキュレーター直あて」を試してみてください。