多層基盤なマザーボード製造に欠かせない「SPSテクノロジー」とは

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マザーボードの品質やコストは、端的に言えば「層の数」に依存します。層が多いほど精密に回路を敷けますが、一方でコストが高くなります。

しかし近年は多層構造なマザーボードであっても、低コストで製造できる技術が登場しました。これが「SPSテクノロジー」です。

今回は、SPSテクノロジーについて解説したいと思います。

「SPSテクノロジー」(Stacked Power Supply Technology)とは

SPSテクノロジーとは、多層基板(PCB)を製造する際に、電力供給に関連する層を積層する技術です。

電子デバイスが高機能化・小型化する中で、電力効率と信号処理能力を向上させるために、SPSテクノロジーが注目されています。

従来の技術では、単一の電源層が基板内に構成され、全ての回路に同じ電源層から供給されていました。その結果、特定の回路ブロックにおける電圧降下やノイズが問題となっていました。

SPSテクノロジーでは、複数の電源層を基板の中に「積層」し、各回路ブロックに直接電力供給を行うことが可能になりました。

これにより従来型製法の問題であった電圧低下やノイズを削減することに成功したとのこと。

SPSテクノロジーの特徴

電力の最適化

電力供給層を複数の層に分け、特定のエリアに直接電力を供給することにより効率を向上させ、電圧降下を抑制します。

信号のノイズ抑制

高周波の信号が進む回路において、SPS はノイズを減少させ、電力の供給安定性を確保します。これにより、ノイズ信号による劣化を防ぐことができます。

スペースの有効活用

高機能なデバイスに必要な電力供給や信号処理層を縦に積み重ねることで、PCBの設計がコンパクトになり、基板のサイズを削減できます。

熱管理の向上

SPS技術を利用することで熱を効率的に分散し、考デバイスの損傷を防ぎます。

自由設計で高密度実装

多層基板の設計において、効率的な電力供給や信号処理は不可欠。しかしこれらの処理は設計上の制約になっていました。

SPSテクノロジーにより、電力供給に必要な層を効果的に基板内に構成できるため、基板のスペースを有効活用できます。

高密度の設計が可能になり、スマートフォンやタブレット、小型ウェアラブルデバイスなど、小型の電子機器に適用しやすくなりました。

高性能なデバイスへの対応

SPSテクノロジーは、デバイスの性能向上にも貢献しています。複数の電圧レベルを必要とするCPUやメモリなどに関して、効率的に電力を供給できるため、パフォーマンスが向上するとのこと。

電力・電圧の制御は非常に難しく、電子デバイスの生命線ですからね。この点が改善されたのは確かに大きいのかもしれません。

SPSテクノロジーでマザーボードは安くなるか?

さて、我々PCゲーマーが最も気になる価格面への影響ですが、SPSテクノロジーは直接的にマザーボードの低価格化につながる技術ではないようです。

ただし、高機能でコンパクトなマザーボードを設計する際の手間やテストの工数は減る可能性があるとのこと。なので、工夫次第で低価格・高品質なマザーボードにはなるようですね。

実際にドスパラ限定モデルのB650 PG Lightning WiFiはSPSテクノロジーを使用していて、非常に低価格です。8層基盤と層数が多いにも関わらず16000円台という価格は、SPSがあってのことなのでしょう。

今後低価格、高品質なマザーボードは「SPSテクノロジー」が目安になるかもしれませんね。