個人サイトにテレホタイム 90年代のインターネット事情

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1990年代、日本のインターネットは急速に普及し始めました。

しかし、当時の接続環境やサービス形態は現在と大きく異なり、制限や特徴が多い時代でした。

最近ゲーミングPCに興味を持ち始めた方々は、当然ご存じないかと思います。そこで今回は90年代のインターネット事情や流行していたサービス、「テレホーダイ」の登場とその影響を振り返り、現在との比較を行います。

90年代のインターネット事情

接続方式と課金形態

90年代のインターネット接続は、主に電話回線を利用したダイヤルアップ接続が主流でした。

家庭用のパソコンを電話線に接続し、プロバイダにログインする形で利用していました。通信速度は非常に遅く、初期は28.8kbpsや56kbpsが一般的でした。

そのため、画像や動画を送受信するのは困難で、主にテキストベースの通信が中心でした。

また、課金形態は従量課金制が基本でした。接続時間に応じて料金が発生し、長時間の利用は高額な電話料金につながりました。

多くの家庭では「インターネットを使うと電話代が跳ね上がる」という問題が深刻で、利用時間を制限する工夫が必要でした。

テキストベースの個人サイトが流行

90年代には、個人が作成するテキストベースのウェブサイトが流行しました。

HTMLの基礎知識があれば簡単にサイトを作成できる時代で、多くの人が趣味や日常生活をテーマにしたサイトを公開していました。

個人サイトの特徴は、現在のブログやSNSのような双方向性よりも、一方向的な情報発信が主だった点ですね。

例えば、以下のようなジャンルのサイトが人気でした。

・趣味や特定のテーマに特化した情報サイト(アニメ、ゲーム、音楽など)
・自作のイラストや詩を公開するクリエイターサイト。
・個人の日記や考察を掲載する自己表現の場。

掲示板やメールフォームを設置し、訪問者との交流を図るサイトも多く見られました。これらの個人サイトは、現在のインターネット文化の基盤を築いたといえます。

ニュースグループの活況

ニュースグループは、90年代のインターネット上での交流の場として重要な役割を果たしました。

特定のテーマに関する電子掲示板の集合体のようなもので、ユーザー同士が情報を共有し議論を交わし、たまにオフ会のようなものも開かれていましたね。

ニュースグループは、以下の特徴がありました。

・テーマごとに分かれたカテゴリ(例:コンピュータ、趣味、政治)。
・基本的にテキストのみのやり取り

モデレーションのない自由な議論も多かったため、荒れる場合もありました。現代の掲示板やSNSの原型であり、インターネットを通じたコミュニティ形成の先駆けでした。

初の定額制サービス「テレホーダイ」

1995年に登場したNTTの「テレホーダイ」は、日本のインターネット事情に革命を起こしました。

このサービスは、月額2300円(当時)で、指定の時間帯(午後11時から翌朝8時まで)に電話料金を気にせず接続できるというものです。

「テレホタイム」という言葉が生まれるほど、インターネットユーザーにとってテレホーダイは生活の一部となりました。

テレホーダイが登場したことで、夜間にインターネット利用が集中し、サーバーの混雑が常態化します。

また、「深夜に起きてインターネットを楽しむ」という独特の文化が形成。利用時間が増加し、個人サイトやコミュニティがさらに活発化しました。

利便性について現在と比較

現在のインターネットは、光回線や5Gなどの高速かつ常時接続の環境が一般化し、利便性が格段に向上しています。

90年代と現在を比較すると、以下の違いが際立ちます。

接続環境

90年代は電話回線を使用しており、接続には数秒から数十秒の待ち時間がありました。一方、現在は常時接続が標準で、待機時間はほぼゼロです。

課金形態

テレホーダイの定額サービスが当時は画期的でしたが、現代では光回線やモバイル回線が完全定額制です。データ使用量を気にすることなく利用できるため、ストレスがありません。

コンテンツと速度

90年代はテキストや簡単な画像が主流でした。動画や音楽をダウンロードするには多大な時間がかかり、実用的ではありませんでした。

現在は、ストリーミングで高画質の動画を瞬時に再生でき、オンラインゲームも低遅延でプレイ可能です。

コミュニケーション

ニュースグループや個人サイトは静的なコミュニケーションが中心でした。一方、現代のSNSはリアルタイムでのやり取りや、画像・動画を通じた多様な交流が可能です。

ネット環境は90年代に比べて飛躍的に快適に

90年代のインターネット事情は、接続方式や課金形態に多くの制約がありましたが、その制約の中で個性豊かな文化が形成されました。

現在の高速・定額インターネット環境と比較すると利便性の差は明らかですが、90年代特有の工夫や文化も、現代のネット社会の基礎を築いた重要な一時代といえるでしょう。

まあ、ゲーマーにとっては現在の環境のほうが圧倒的に快適なことは間違いありません。「昔は良かった」は幻想かもしれないですね。