VRMフェーズはいくつあれば安心できるか

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VRMとは、Voltage Regulator Module(電圧レギュレーターモジュール)の略でマザーボード上にある保護回路のことです。

このVRMはゲーミング仕様のマザーボードにおいて、品質を測る指標になっています。要はVRMフェーズが多ければ多いほど、高級なマザーボードなわけですね。

では、安心できるVRMフェーズ数とは一体いくつなのでしょうか。

マザーボード上の電圧変換回路「VRM」

VRMはCPUに供給される電圧を変換し、過剰な電圧が発生しないようにコントロールするための回路です。

PCに内蔵される電源ユニットは、家庭用コンセントから供給される交流電源(日本ではAC100V)を、PC用の直流電源に変換しています。

具体的には、マザーボードにたいしてDC12V・5V・3.3Vという3種類の電圧に変換し、供給しているわけです。

ところが最近のCPUは低電圧化が進み、一般的なCPUであれば動作電圧が1.5V以下になっています。つまり、PC用電源ユニットから供給される電圧とは一致しないわけですね。

この電圧の不一致を解消するための回路がVRMです。VRMは、DC12VをCPU向きの電圧に変換し、過剰な電圧がかかることを回避しているのです。

また、電圧が不足した場合には電圧を高めて安定動作を支える機能もあります。このように電圧の調整を行うスイッチ回路を「フェーズ」と呼びます。

VRMフェーズの数=保護・調整性能

一般的にはVRMフェーズの数が多いほど、電圧の調整機能が強く、安定性や耐久性に優れるとされています。

オーバークロック仕様のマザーボードの中には、VRMフェーズ数の多さを大々的に謡うものが多く、マザーボードの性能を測る指標のひとつになっているわけです。

では、一体どの程度のVRMフェーズ数ならば「合格」なのでしょうか。例えば、各世代のハイエンドチップセットを搭載したマザーボードならば、VRMフェーズ数が10を超えるモデルも珍しくありません。

実際に、MSIが販売しているZ590チップセット搭載のハイエンドマザー「MEG Z590 UNIFY」などは、最大19フェーズのVRMを搭載していると記載されています。

しかしハイエンド仕様を超高付加で連続稼働させるような使い方でなければ、もっと少ないVRMフェーズでも何ら問題ありません。個人的には6~10フェーズで十分かなと感じています。

メニーコア化でVRMフェーズがより重要に

ただし、最近はCPUのコア数・TDPともに増加傾向にあることから、以前よりもVRMフェーズ数が増えていることは確かです。

多数のコアを負荷に応じて稼働させるCPUでは、アイドル状態と高負荷状態で必要となる電流が大きく変わります。そのため、この変動に耐えられるように電流を調整する「応答性」の高さが求められているのです。

CPUの負荷が高くなって多くの電流が必要になると、電源に負担がかかり電圧が低下します。応答性が低いマザーボードはこの電圧低下の時間が長く、瞬間的な電流供給がしにくいのです。

一方、VRMフェーズ数が多いマザーボードは負荷変動への応答性が高く、素早く適切に電圧を調整し、電流を確保します。こうしたことから、VRMフェーズの数は今後ますます重要になっていくでしょう。