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中古のPCを物色していると、ごくまれに「産業用PC」という品が出ています。
正直あまりスペックは良くないのですが、価格を見るとそれなり……。この産業用PCは一般のゲーミングPCと何が違うのでしょうか。
産業用PC=「業務利用専門のPC」
産業用PCとは、主に製造業において、工場など厳しい環境下で長期間使用することを前提に造られたPCです。
産業用とはいえ、実際のスペックは決して高くありません。例えば、最近NECが出した産業用PCは、以下のようなスペックと価格です。
FC98-NX
Celeron G4900T搭載モデル:36万8000円
Core i3-9100TE搭載モデル:50万5000円
Xeon E-2278GEL搭載モデル:56万3000円
ちなみにメモリは共通で最大32GB、ストレージは2TB HDDか500GB SSDが最大だそうです。
どうでしょうか。正直、めちゃくちゃ高くないですか?私はあまりの高額っぷりに唖然としてしまいました。Xeonは仕方ないとしても、CeleronやCorei3が何十万もするとは……。しかも、構成はいたって平凡です。
私が現在メインで使用しているPCに比べても、決して良いとは言えません。負けているのはメモリ搭載量くらいでしょうか。
なぜここまで産業用PCが高く、普通のPCと何が違うのか、整理してみましょう。
産業用PCの売りは耐久性と保守期間
まず、産業用PCの価格は「性能」で決まっているわけではないという事実があります。そもそもゲーミングPCのように高い描画性能を持つ必要もないことから、CPUは安定性や省電力性が最優先です。
では、何が価格を押し上げているかというと、「防塵などの耐久性」「出荷停止後、7年~10年程度は部品交換が保証される保守期間」などですね。
こうした産業用PCは工場で機械制御などに使用されるため、普通のPCよりも高い防塵性能が求められます。
埃はPCの大敵ですから、防塵性能だけでもそれなりのお金がかかるわけですね。また、産業用PCは簡単に入れ替えるわけにはいかないため、同じ機種を何年も使用できなくてはなりません。
つまり、故障があった場合のリスクヘッジとして、部品を一定期間ストックしておく必要があるのです。こうしたサービスは通常のPCにはありませんよね。
ということで産業用PCの価格は「厳しい環境に耐えうる性能」「故障リスクに対応するための保守物品&サービス」で構成されるのです。
価格はゲーミングPC並だが……?
では産業用PCをゲーミングPCに転用できるかと言えば、答えは「YES」でもあり「NO」でもあります。
要はGPUを追加できれば良いだけなのですが、そもそもGPUの搭載を前提としていないマザーボードであれば、ゲーミングPCへの転用は不可能です。
産業用PCはマザーボードが独自仕様になっていることがあり、必ずしもGPUの追加をサポートしていないからです。
ごくまれにリース切れなどで役目を終えた産業用PCが中古市場に出回っていますが、安いからといって飛びつくことはやめましょう。
ゲーミングPCへの転用ならば、一般のビジネス用PCのほうがマシです。どうしても欲しい場合は「マザーボードが汎用的な仕様か(普通のPCと同じか)」「電源容量は十分か」などをチェックするようにしてください。