ゲーミングPCの組み立てやパーツ交換作業において、注意すべき事柄のひとつに静電気があります。
静電気を逃がしてからパーツを触るのは、もはや鉄則と言って良いでしょう。しかし、「残留電力」についてはあまり知られていません。
実は、PCに起こる不具合には、残留電力によるものが少なくないのです。
残留電力とは何か?
残留電力とは、電源を落としたあとも機械の内部に残り続ける電力(電荷)のことを指します。
PCにはコンデンサが多用されており、コンデンサには一定量の電気が溜め込まれているのですが、これは電源を落とした後もしばらくは残っています。
あるPCメーカーの調査によれば、PC内部の残留電力だけでもPCを起動したり十数秒間動かしたりできるほどだとか。
静電気が発生しやすい季節になると、静電気がPC内部に溜まってしまうこともあるそうです。こうした残留電力は、不具合に原因になることもあります。
具体的には残留電力によって過電流・過電圧から回路を守るための機能が働き、これが原因で不具合が発生するのだとか。
放電で不具合が解決することも
残留電力によって引き起こされる不具合のひとつに、「電源が入らない」というものがあります。
物理的な故障やソフトウェアの不具合が見つからないにも関わらず、電源だけが入らないというときには、放電作業を行ってみてください。
手順は簡単で、
- 電源ケーブルをPC本体およびコンセントから完全に外す
- 電源ボタンを15秒程度の間、押しっぱなしにする
- 電源ユニット自体に放電ボタンがある場合はそちらも押す
といったものですね。通常は1回で良いと思いますが、私は念のため2回ほど繰り返します。
この手順を踏むことでPC内部(主にマザーボードとメモリ)に残った電力を放出し、不具合の解消につながるというわけです。
自然放電でもOK
また別な方法としては、「コンセントを抜いて(ノートPCの場合はバッテリーも外す)、1時間以上放置する」というものもありますね。
この方法はドスパラのFAQにも記載されています。(http://faq3.dospara.co.jp/faq/show/4151)
ちなみに、ノートPCでバッテリーが外せないものについては放電処置自体ができないとされています。
さらにタブレットもバッテリー内蔵型なので不可能ですね。ということは最近のスマホは大体NGということになります。
そう考えると「電源から完全に切り離せない」というのは結構なリスクに感じてしまいますね。まあ、不具合が起こらなければ何も問題はないわけですが…。
正式な手順はメーカーの公式FAQをチェックしよう
実はこの放電処置ですが、一般的な電化製品でもよくつかわれるため、実はかなりメジャーな方法です。
その証拠に、BTOメーカーや家電メーカーの公式サイトに必ずと言って良いほど手順が記載されています。
・マウスコンピューター
https://www2.mouse-jp.co.jp/ssl/user_support2/sc_faq_documents.asp?FaqID=12897
・NEC
https://faq.nec-lavie.jp/qasearch/1007/app/servlet/relatedqa?QID=008293
・富士通
https://www.fmworld.net/cs/azbyclub/qanavi/jsp/qacontents.jsp?PID=7607-9772
また、公式サイトに記載がない場合でも、メールなどで問い合わせると返信してくれると思います。
手順に大きな差はありませんが、放置する時間やスイッチの場所などが微妙に異なるため、できれば公式サイトの情報などを参照するようにしましょう。