HDDは最大22TBに!OptiNANDでHDDはまだ生き残る

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SSD全盛の時代ですが、古き良き(?)技術であるHDDもまだまだ根強い人気があります。

HDDはSSDの影に隠れながらも年々進化していて、2023年1月現在、なんと22TBまで容量が拡大しています。

また、その背景には新しい技術「OptiNAND」の存在があることにも注目したいところ。今回はHDDの大容量化について解説していきます。

市販では最大級の22TBモデルが登場

これまでHDD市場は、6~8TBモデルが主流であり、人気モデルの大半がこの容量帯に集中していました。

6~8TBあたりの容量はSSDで実現するにはまだまだ割高であり、「読み書き速度よりも容量が欲しい」ユーザーにとってはHDDのメリットを最も享受しやすいゾーンだったのです。

しかし、動画コンテンツの一般化やゲームクライアントの巨大化によって、6~8TBクラスの容量でも不足を感じる人々が出現。私の知人も、もっと大容量なHDDが欲しいとぼやいていました。

そんなユーザーの要望をくみ取ってなのか、2022年夏ごろから20TBクラスの容量を持ったHDDが登場し始めます。

2023年時点で、一般的な市販HDDの最大容量は22TBに達し、動画コンテンツやゲームデータの保存にも困らないレベルになりました。また、バックアップ用ストレージとしても20TBクラスのHDDは非常に優秀です。

なぜここまで急激にHDDの大容量化が進んだかといえば、新技術である「OptiNAND」が本格的に始動したからです。

HDD大容量化のカギを握る「OptiNAND」とは?

OptiNANDは、HDDメーカーの老舗であるウェスタンデジタル社(以下WD)が開発した新しいアーキテクチャです。

OptiNANDはSSDとHDDの基本的な考え方を融合させ、NAND型フラッシュメモリとスピニングディスク(物理的に回転するディスク)を組み合わせています。

同じような考え方の技術として「ハイブリッドドライブ」がありますが、OptiNANDはハイブリッドドライブと異なり、データをフラッシュメモリに保存しません。

フラッシュメモリに保存するのはメタデータであり、いわゆる実データではなく管理用のデータです。管理用のデータをフラッシュメモリに担当させることで、より大量のデータを管理できるようになり、結果的にHDDの大容量化が進むという仕組みだとか。

もう少し技術的な解説をすると、

・従来のHDDはトラックレベルで書き込みを操作するため、トラック全体(ディスクの表面の同心円状の記憶領域)で更新が必要
・OptiNANDはメタデータの管理機能強化によって、セクターレベル(トラックをさらに区切った最小単位)でデータの管理ができる
・従来よりも更新作業の範囲が狭いため、性能を低下させずにトラック同士を近接して配置できる

という仕組みのようです。正直なところ、私もしっかり技術的な内容を把握していないのですが、要はメタデータの管理機能強化がデータ更新範囲の最小化につながり、他の範囲に影響せずに更新が可能になったために記憶領域を効率よく使える、という考えなのかなと。

WDでは「1インチあたりのトラック数が多いほど、ディスクのストレージ容量が増えるため、ディスクやヘッドを追加しなくても容量を増やすことができる」と発表しているので、おそらく間違ってはいないのだと思います。

このOptiNANDが一般化することにより、HDDは今後も大容量化が進んでいくそう。2023年には30TBクラスのHDDを製品化する予定もあるようです。

OptiNANDは速度も優秀

OptiNANDを採用しているWD Red Pro(7200rpm)では、リード約272MB/s、ライト約263MB/sを記録。

一般的な7200rpmモデルの場合、リードは150~180MB/s、ライトは100~120MB/sなので、十分以上の速さですね。SSDには遠く及ばないとはいえ、データストレージとしてはまったく問題ないレベルです。

これからはバックアップ用ストレージとしてOptiNAND採用のHDDが再び注目されるかもしれません。ぜひチェックしてみてください。