GPUのファンは多いほど良いのか?

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GPUを積み替えるとき、「サイズ」が合わずにケースにおさまらない…ということがあります。私も2度ほど経験しました。表示の寸法では収まるはずなのに、実際には微妙な凹凸がひっかかってしまうことがありますからね。

こうしたリスクを避けるには「ショート基盤」のGPUを選べばよいわけですが、ショート基盤のGPUはファンの数が少なかったりします。

では、GPUのファンは多ければ多いほど良いのでしょうか。

一般的にはファンの数=冷却能力だが…?

ショート基盤モデルはシングルファン採用が多く、ツインファン・トリプルファンよりも冷却能力が落ちると言われます。

確かにファンが少なければ冷却能力は下がる…と納得できそうなのですが、実際はそう単純でもないようです。

なぜなら、そもそもトリプルファンやツインファンを採用しているモデルは「OCモデル」であることが多いからです。

OCによって発熱量が増し、サーマルスロットリングを防止するためにファンを増やしているのであって、「稼働時の温度の絶対値を下げるため」ではありません。

一方、シングルファンモデルは「省スペース、省電力」を重視するユーザーが多いことから、「そもそもシングルファンでも問題ないレベルの発熱」であることが多いです。

OCの程度がゆるやかだったり、OCが一切行われていなかったりするわけですね。したがって、「ファンの数が多いほど冷却能力は上がるが、GPUの温度とイコールではない」と言えます。

ファンの数よりも大切な要素

GPUの温度を複数のモデルで調べてみると、ファンの数と温度が比例しないことに気づきます。

GPUの温度は、ファンの数よりも「ヒートシンクの品質と材質」「ヒートパイプの本数、形状」「ファンの品質」によって左右されるのです。

ファンの数だけが多くても、「ヒートシンクの厚みがない」「ヒートパイプが銅ではなくアルミである」という場合は、冷却能力に期待できないでしょう。

また、いわゆる「外排気(ブロワーファンから熱を吸気してケース外に直接吐き出すタイプ)」も冷却能力はあまり高くありません。

ただし、外排気はPCケース内の温度やエアフローの影響を受けないため、スペースに余裕がない小型ケースでも温度を一定に保ちやすいというメリットがあります。

ロー~ミドルレンジならばシングルファンでも何ら問題ない

ファンの品質によりますが、ロー~ミドルレンジのGPUならばシングルファンでも高温になることはほとんどありません。

例えばMSIの「GeForce GTX 1650 SUPER AERO ITX OC」は、シングルファンながら温度・静音性ともに及第点レベル。

MSI謹製のツール「アフターバーナー」で調節することにより、「クーラーの送風音でかき消され、何の音も聞こえないレベル」で安定稼働します。

GPUを選ぶ際はファンの数もさることながら、OCの程度やヒートシンク・ヒートパイプの質などにも注目してみてください。