最近よく見かける「TBP」って何のこと?

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CPUやGPUの消費電力を推測する目安として「TDP」がありますよね。消費電力の厳密な計測は難しいため、設計上の発熱量をベースにしたTDPから、消費電力を推し量るのが一般的です。

しかし、最近では「TDP」ではなく「TBP」で消費電力を表すケースが増えてきました。一体TBPとはどんな値で、どのような意味を持っているのでしょうか。

TBP(公称典型消費電力)とは何か?

TBPの正式名称は「Typical Board Power」です。日本語に直訳すると「典型的なボードの電力」となります。ちょっと意味が通じないので、もう少しわかりやすく言うと「グラフィックボード1枚あたりの、典型的な消費電力」となります。

この「典型的」が曲者なのですが、素直に考えると「通常考え得る用途で、一般的な使い方をしたときの最大値」と考えて良いでしょう。

TBPは主にAMD製のRadeonシリーズに対し、2011年ころから使われるようになった消費電力の指標です。

TDP「Thermal Design Power(熱設計消費電力)」は、厳密に言えば「そのデバイスを冷やすためにどの程度の吸熱量が必要か」を表した値で、「消費電力」というよりは「熱出力」が近いでしょう。

一方TBPは、日本語での詳細な解説が見つかりません。英語の解説記事もほぼ存在しないようですね。

名称から推測すると、おそらくは消費電力を設計上から見積もった値でしょう。つまり、消費電力に直結した値です。どちらが正しい、ということではなく、意味するものが全く異なるということは覚えておいてください。

例えば、nvidiaのGPUが「TDP200W」、AMDのGPUが「TBP220W」と表記されていても、AMD側のほうが電気を食うとは限らないのです。理由は、どちらも計算方法が異なるうえに、実際の消費電力を表している値ではないからです。

TBPは実測消費電力とどの程度違うのか?

AMD製のGPUに限って言えば、TBP×0.8~0.75程度が、実測消費電力(実際の消費電力)に近いと言えます。これ、ワットチェッカーなどを使って計算するしかありません。

ちなみに最近発売されたAMD製GPU「Radeon RX5700シリーズ」に関しては、次のように推測できます。ライバル製品と比較しながら見てみましょう。

グラフィックボード TBP/TDP 実測消費電力
Radeon RX5700XT 225W 180W前後
Radeon RX5700 180W 150W前後
GeForce RTX2070 175W 170W前後
GeForce RTX2060 160W 160W前後

nVidia GeForce側は、ほぼ「TDP=消費電力」という仮定できますが、AMD側は違います。この違いに惑わされないようにしたいところですね。

消費電力でもAMDとnVidiaは拮抗している

AMDの新GPUコア「Navi」が発表され、Naviを採用したRX5700シリーズが登場し、いよいよAMDとnVidiaにも差が無くなってきたな、という印象があります。

nVidia側がハイエンドモデルのパフォーマンスで上回っていますが、ミドル~ミドルハイのレンジでは本当に甲乙つけがたい状況です。強いて言えば、nVidia側がレイトレーシングとDLSSに対応しているだけ有利、という感じでしょうか。

ただし、レイトレーシングやDLSSに対応したゲームタイトルが非常に少ない上、価格はAMD側が若干安いため、本当に「個人の好み」の世界です。

結局のところ、最後に行きつくのは、見た目の好み(パッケージや色彩表現の傾向など)なのかもしれませんね。