コンセントがネット回線に?忘れられた便利アイテム「PLC」

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ゲーミングPCには光回線や高速Wifiなど、高速に通信できる回線が必須ですよね。

しかし、自室に電話回線のモジュラージャックがない、もしくはWifiの電波が届かないという方もいます。

こうした方達への救済として一時的に注目されたのが「PLC」です。このPLC、コンセントがネット回線に早変わりという優れもの。今回は忘れられた便利アイテム「PLC」を紹介します。

ありそうでなかった通信装置「PLC」

PLCとは、「Power Line Communication」の略称で、日本語では「電力線搬送通信」と翻訳されます。

PLCをざっくり簡単に説明すると「LANケーブルのような通信システムがない場所でも、電力線を用いて通信を行える仕組み」です。

実はPLCの歴史はかなり古く、その起源は1960年代まで遡るといわれています。現在のように高速通信網が整備されていない時代、電力線を通信に使っていたとのこと。

主に山間部や過疎地域などでは、唯一といってよいインフラが電線網であり、これを活用して高速通信を行うという目論見があったようです。

しかし、ADSLや光回線といったブロードバンドインターネットの普及により、PLCは徐々に衰退していったのだとか。それもそのはずで、初期のPLCは最大通信速度が9600bpsと遅く、ブロードバンド時代に対応できる代物ではなかったのです。

その後、2006年になって総務省から省令改正が出され、より高速な通信を可能とする周波数帯の使用が認められました。このことが現在の高速PLC(High Speed PLC)の開発につながったといわれています。

ちなみに高速PLCの通信速度は200~500Mbpsほどで、光回線よりは確実に遅くなります。しかし、LAN環境の敷設が難しい場所でもコンセントさえあれば設置できること、実測値として10Mbps以上が出せることから、意外と使い勝手は良いのです。

2017年ころから見直されるPLC

このPLCですが、2017年ころから新世代のPLCが注目されています。パナソニックが提唱する「HD-PLC」がそれです。

HD-PLCは第三世代のPLCと言えますが、Wifiの電波が届かない場所にあるIoT家電などが増えたことで、電力供給と通信を同時に行えるPLCが再評価されているとのこと。

また、屋内ではドアや家電などさまざまな遮蔽物がWifiの邪魔をしますが、コンセント経由の有線接続を基本とするPLCは、こうした遮蔽物の影響を受けません。

また、屋内の任意の2か所にPLCを設置できさえすれば通信できるので、LANケーブルを1階から2階に延長する…といった大掛かりな作業も必要ないのです。

さらに、コンセント→PLC→Wifiルーターという具合にWifi通信の拠点としても使えるので、どの部屋でも均一な速度で高速通信を使えることもメリット。

現状ではHD-PLCの通信速度は20Mbpsほどで、光回線の数百Mbpsには遠く及びません。しかし、ネットゲームの大半は10Mbps程度で普通に遊べてしまいますし、意外と速度は必要ないのが実情です。

唯一、大容量ファイルのダウンロードだけは時間がかかってしまいますが、それを除けば十分実用的なレベルに達しています。

ゲーミングノート+PLCの組み合わせは意外と優秀かもしれない

私が個人的に思い浮かべたのは、ゲーミングノートPCとPLCの組み合わせです。自室でゲームをしたいが有線LANは使えないしWifiも電波が弱い…といった場合にはPLCが活躍します。

また、PLCは非常に小型なので、コンセントのある場所に移動さえできれば使い始められます。持ち運び可能なゲーミングノートPCとセットで運用すれば、場所を選ばずにゲームを楽しめるわけです。

PLCは2021年の電波法改正を受けて、解禁場所がどんどん増えています。2023年には第4世代のPLCも登場するとみられており、さらなる通信速度の向上も期待されているため、今後はゲーミングPCの相棒として使われるかもしれませんね。