ソルダリングのメリットとは?殻割りとの違いも解説

CPUは、パソコンの性能を左右する重要なパーツであることはご存じのとおりです。また、CPUは「常に冷却が必要」であることも理解しているでしょう。しかし、冷却の仕組みや方法について、どの程度の知識を持っているでしょうか。

今回紹介する「ソルダリング」は、CPUを冷却する方法のひとつで、一般的にはあまり知られていません。そこで「殻割り」との違いにも触れながら解説していきます。

CPUの冷却効率を上げる「ソルダリング」の仕組みとメリット

通常、CPUは基盤(ダイ)とヒートスプレッダ(四角形の金属部分)がグリスで接着されています。これは、接着のほかに「熱伝導」の役割も果たしており、ダイが発した熱をヒートスプレッダへと伝え、そこからCPUクーラーへと続く「冷却システム」の基点になっているわけです。

ソルダリングは、CPUの基盤とヒートスプレッダの間を、グリスではなく半田で接着する方法。グリスで接着するよりも熱伝導効率が高く、OC耐性が高まるとされています。

ソルダリングのメリット

  • 熱伝導効率が高く、OC耐性が高まる

ソルダリングのデメリット

  • シリコン素材に直接、半田付けができないため、下処理&特殊素材(インジウム)の使用が必須
  • 特殊素材(インジウム)が経年劣化によって変形し、ダイを引っ張ってCPUが故障する原因になり得る
  • 下処理には、チタンやバナジウム、ニッケル、金などの希少金属が必要で、コストや手間がかかる

CPU殻割りとの違いは?

CPUのOC耐性を高める手法としては、「殻割り」も良く知られています。しかし、殻割りはソルダリングとは全く異なる方法です。殻割りとは、グリス方式で製造されているCPUの「ダイ部分」と「ヒートスプレッダ部分」を分離させ、より熱伝導効率の高いグリスを塗りなおす方法。

一般的に使われている熱伝導材はシリコングリスですが、これをより高価なグリスに差し替えることで、冷却能力をあげるわけですね。ちなみに本格的なオーバークロッカーの中には、高価な液体金属を塗って究極まで熱伝導効率を高める強者も。

良く使われるのはドイツのメーカー「Coollaboratory」の「LIQUID PRO」ですね。最初から注射器に封入された状態で市販されています。「殻割り+リキプロ化(LIQUID PROの略称)」は、CPUのOC耐性を高める定番の改造ともいえるわけです。

殻割りについては「あくまでも自己責任!CPU殻割りのメリットとデメリット」の記事で解説しています。

殻割り+リキプロ化とソルダリングではどちらが冷える?

これについては過去何度もオーバークロッカー達の間で検証が行われました。最終的には、「ソルダリング方式で製造されたCPUにはかなわない」という結論が出ています。いかに液体金属を使用した殻割りであっても、特殊素材で接着された半田付けよりは、熱伝導効率が落ちるようですね。

ちなみに、近年のCPUは「Intel製がグリス方式」「AMD製がソルダリング方式」でしたが、Intelも第9世代Coreシリーズからはソルダリング方式を復活させています。

また、第9世代Coreシリーズはソルダリング方式にもかかわらずOC耐性が低いことに不満をもつユーザーが多いとのこと。そのため、殻割り後にインジウムを除去し、さらにダイそのものを削って液体金属を塗り、低温稼働を実現させた例もあります。

ここまでくると普通のゲーマーにはハードルが高すぎますが、要はダイの大型化や厚さの増加、ダイとヒートスプレッダの間の素材が原因で、以前よりもOC耐性が低下しているようです。純粋なOC耐性を求めるならAMD製CPUのほうが良さそうですね。

少しわかりにくい話でしたので、最後にまとめると、以下のようになります。

  • ソルダリング(ダイとヒートスプレッダの半田付け)方式は、グリス方式よりも冷却能力が高い
  • Intel製CPUも第9世代からソルダリング方式を復活
  • OC耐性はAMD製CPUのほうが高い
  • CPUダイの大型化、厚さの増加でソルダリング方式でもOC耐性が低いCPUがある