GTX1630にGT1030…ローエンドグラボの存在意義を考える

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巷ではミドルレンジからハイエンドクラスのグラボの話題が常に飛び交っていますが、その高価格ぶりにうんざりしている人も多いはず。

一方、ローエンド帯のグラボは極めて良心的な価格であり、価格だけ見ると飛びつきそうになってしまいます。

例えばGTX1630やGT1030などがその典型例ですよね。しかし、これら最低価格帯のグラボは、徐々に存在意義を失っているようです。

脈々と受け継がれる「画面出力できればよい」グラボの系譜

CPU内蔵グラフィックが今ほど高性能でない頃は、ちょっとした動画コンテンツを視聴するにも独立型のグラボが必要でした。

また、内蔵グラフィックが省略されているCPUの場合、画面出力用にグラボが必要になりますよね。

こうした「必要最低限」の需要を満たしてきたのがローエンド帯のグラボです。ここ10年程を振り返ると、「GT730」「GT1030」「GTX1630」などが思い浮かびます。

これらは性能の低さよりも「最低限の性能を、きわめて安価に実現できること」が評価されるため、1世代に必ず一つは配置されるグレードでした。

私もサブマシンでGT730のお世話になりましたね。中古の良品が5000円未満で手に入ることから、非常に重宝した覚えがあります。

また、GT1030は長らくローエンドかつロープロファイルの定番でしたが、ビジネス向けデスクトップPCのアップグレードにとても役立ちました。

ゲームはブラウザゲームや古いMMOが何とか遊べるレベルでしたが、動画などはほんの7~8000円でしっかりと描画してくれますし、手っ取り早く2画面出力仕様にできるのでとても便利だったのです。

何よりも、「品薄、品切れ状態にならない」ことがありがたかったですね。中古市場を見ても必ずどこかにあり、決して高騰せず、すぐに手に入ることは大きなメリットでした。

しかし、こうしたローエンド帯グラボの系譜が途絶えるかもしれません。

「必要最低限」のレベルが上がっている

一昔前はOSのUI自体も素朴で、描画にそれほどGPUパワーを必要としませんでした。しかしWindows10あたりからOSを動かすだけでも一定のGPUパワーが必要になり、ローエンド帯グラボは中途半端で使いにくい存在になったのです。

動画コンテンツが当たり前になりましたし、Webサイトでも動的な表現がどんどん普及していますよね。もはやGT730やGT1030ではゲーム以外でももたつくことが多くなり、かといって何か特定の用途があるわけではないので、出番が少ないのです。

また、ローエンド帯の強みであった「ロープロファイル版」も、ミドルレンジクラスで見かけるようになりました。小型PCの認知度が上がってきていて、ロープロファイル版を出すメーカーが増えたからです。

「ロープロファイルで安く、最低限の用途に使える」というローエンド帯の強みが消失してきているのが実情ではないでしょうか。

GTX1630もかなり微妙?

ということで、現在のローエンド帯の顔である「GTX1630」を見てみると、こちらもちょっと微妙です。

GTX1630の実売価格は15000~20000円程度で、「1万円で買える」が当たり前だったローエンド帯としては高価な部類。

さらにゲーミング仕様の入り口であるGTX1650が20000円程度で買えるうえに、こちらは中古も豊富です。中古のGTX1650なら15000円未満で結構見かけます。

GTX1630自体は「ローエンドにしてはゲームもそこそこ遊べる」くらいの性能なのですが、価格性能比ではどう転んでもGTX1650に勝てません。

ちなみにロープロファイル版はGTX1650にもありますので、本当に微妙な存在なのですね。一言で表現すると「GTX1650との棲み分けができていない」グラボなのです。

私ならGTX1630の新品よりもGTX1650の中古を狙って、そのうちより上位に買い替えると思います。「ロープロファイル」「低価格」の2つに惑わされず、適切なグラボを選んでいきたいですね。